政府系金融機関であるDBJ日本政策投資銀行は、「女性の起業活動をサポートし、新たなアイディアや課題解決の視点をビジネスとして実らせ、経済・社会の活性化、構造改革を促す」ことを目標に掲げて、2011年11月からDBJ-WEC女性起業サポートセンターを発足させています。

その活動の一環として、女性新ビジネスプランコンペティションを開催していますが、
昨日、第4回目が開催されました。


受賞者には、事業奨励金(1000万円、500万円)の支給と1年間のメンタリングが行われます。

また、ビジネスプランのブラッシュアップ、専門家・有識者の紹介、協力企業の発掘協力など、さまざまな支援を行います。

全国406件の応募の中から選ばれたファイナリスト10人によるプレゼンテーションは、女性ならではの視点や人脈で、障がいをもつ子どもの療育や就労支援、ママさんどうしの子育てシェア、発酵食による健康改善、デザイン心理学で医療事故を防ぐなど社会課題を解決するビジネスモデルをつくり出したり、林業や漁業、農業、工業の未利用あるいは廃棄されていたような地域資源や、技術力ある地域人財にニーズをマッチングさせて付加価値を生みだすなど、それぞれにビジネスとして成立させ、かつ発展可能性がある内容でした。

当コンペティションでは、新規性や革新性、かつ、収益を生み出す事業性が高いプランが対象となっていますが、地域内の人材や資源を有効活用し、地域のまちづくり・産業づくりなど地域の成長に資するかどうかも評価されます。今後、国と地方で力を入れていく、地方創生にも大きく関係しています。

選考の結果、今回は、伝統産業でベビー・キッズ用品にイノベーションを起こす、株式会社和える(aeru)の矢島里佳さんが見事大賞を受賞しました。




パネルディスカッションでは、過去の大賞受賞者である、

持続可能な農業をめざして、畑から食卓まで、おいしいと安心を人とITで効率的につなぐプロバイダー事業を展開されている加藤百合子さん(株式会社エム・スクエア・ラボ)、

自社一貫開発製造による高級ボトリング日本茶を世界に発信している吉本桂子さん(ロイヤルブルーティージャパン株式会社)、

ファッション業界と直接組み、ラグジュアリーファッションを百貨店やブランドのギフトカードで買取り、新規購入を促す業界初のトレードイン事業をニューヨークから展開している矢野莉恵さん、

登場しました。

大賞受賞後のDBJの支援への感想や現在のビジネス状況が語られましたが、お3方ともその後、それそれ事業を発展させており、当コンペ挑戦者とDBJ支援の質の高さがうかがえました。





折しも、男女雇用機会均等法が制定されてから今年で30年。

そして、ちょうど本日から、男女共同参画週間が始まりますが、
真の男女共同参画社会とは、女性が男性と同じように意志決定の場に参加する社会です。

意欲ある女性が、その特性を活かして起業し、仕事を通じて地域や社会に貢献し、収入を得ていくことは、男女共同参画社会を実現する柱のひとつといえると思います。(もちろん、それだけという意味ではありません。)

発展する産業から雇用を生み出し、生産性を上げて所得を向上させる、という好循環を実現して経済を成長させていくためには、
使ってしまったら終わりというような補助金に依存するのではなく、事業を持続可能なものにしていく政策、特に、金融機関が本来の健全な金融機能を働かせて、目利き力と人脈によって金利以上の成長をとげる事業を見つけ、支援し、成長する事業へと育てていくことを本流とする環境にしていかなければなりません。

民間金融機関の足を引っ張ってきた不良債権の処理がやっと終わり始め、かつ、デフレ経済から脱する兆しがようやく見えて、これから、金融機関本来の仕事である目利き力による企業支援に力を入れる環境ができつつあるいう声も、聞こえるようになってきました。景気回復は、これからが正念場です。

これまで見過ごされてきた新しい視点から、ビジネスを生み出す力をもつ女性起業家が、金融機関から必要な資金を調達してビジネスを堅実に拡大させていくことは、経済好循環をつくるひとつの鍵であると思います。


しかし、金融機関からお金を借りられるくらいのビジネスプランをつくることは、大変高いハードルがあります。

民間金融機関とも協調しながら、女性起業支援に先駆的に取り組んできたDBJの当コンペティションへのこれまでの応募累計数は全国から約1400件。

今回のコンペティンションで、その中から選ばれた方々の、(おそらく)男性には考えつかない、かゆいところに手が届くような、多様な魅力あるビジネスプランを直接伺って、適切なサポートがあれば、高いハードルも突破できる女性起業家が、全国各地にいるということを実感できました。


今でこそ、女性活躍が注目され、景気回復の目も出始めていますが、2011年の先行きが不透明で景気が底にあった頃時代に、こうした取り組みを開始して、女性起業家の発掘に力を注ぎ、実績をつくってきたDBJの関係者に敬意を表します。

国会では、女性活躍推進法が参議院に送られ、審議されるところです。


日本再生に向かって、社会を明るく照らす光となる女性起業家の皆さんを讃え、応援してしていきます。