地域コミュニティの育成を基盤とした行政運営を実現している

東京都三鷹市。

東京都のほぼ中央に位置します。


公教育の充実にも、その市民力が活かされています。

三鷹市では、

現行制度の枠組みの中で、既存の小・中学校を存続させたまま、小学校・中学校を統合したコミュニティスクールを基盤として、学校と家庭と地域が当事者として「ともに」手を携え、義務教育9年間を通して、子どもたちの「人間力」「社会力」を育てる小・中一貫教育に取り組んでいます。

<三鷹市の顕著な成果>

取り組み前と比較し、

○三鷹市学習到達度調査で正答率が上がり、

○中学生の不登校出現率が半減し、都内最小になっている、

とのことでした。

また、市立中学校への進学割合も8割と三鷹市のような環境から考えると高く(通常は6割位だそうです)、三鷹市の公教育に対する保護者の方々の信頼感が表れています。


<市民による学校運営・教育活動への参画>

三鷹市のコミュニティスクールは、意識の高いコミュニティスクール委員会はもちろんのこと、多くの市民ボランティアによって支えられています。

小中学校の子どもの数11,387人に対して、教員数605人、そして、市民ボランティア数が延べ17,807人と、数を見るだけで多くの市民が参加していることが分かります。


三鷹市のコミュニティスクールには2つの機能がり、学校運営への参画と教育活動への参画で、会長の下、「支援部」「地域部」「評価部」があります。

「支援部」の下に学校支援ボランティアが組織されていて、
学校環境のサポーターや、授業についていけない子どもの把握や支援、特別な専門性をもった方による授業など学習サポーターとして、教育活動の中に保護者・地域人財が参画しています。支援部はこの調整役、アレンジを引き受けてらっしゃるということでした。

そして、「地域部」は、地域行事・活動の推進などを行い、たとえば、「合奏の発表の場がもっとあったら・・」というような中学生の希望を聴いて、その希望を叶えるために、地域運動会での発表の場をつくるなど、子どもの活動と地域がつながる橋渡しをしています。

地域の方々が子どもたちと対話できる場所があり、地域の大人が子どもの能力と人間性を育む活動の手助けをしてあげていることがよく分かりました。

さらに、「評価部」は、学園全体の運営について、アンケートの作成、回収、そして膨大なアンケートを分析・検証し、評価・助言を行うことにより、次年度の教育活動に活かしています。学校の自己評価だけでなく、市民参加のコミュニティスクール委員会も評価を行うことにより、次への改善に活かされる実効性あるサイクルができています。さらに、その結果を保護者にお知らせしていく「広報部」もあるとこのこと。

小学校から中学卒業まで9年間のカリキュラムを作成し、小学校と中学校の教師が相互乗り入れで授業をするなど学校もその責任を果たしつつ、さらに学校運営と教育活動を改善させるための責任を市民が共に共有しているからこそできることだと思います。意識の高い、そして、責任感ある市民がいなければ実現できないことだと思います。

三鷹市では、教育ボランティア養成のために子どもとのかかわり方やコンプライアンス、さらにスキルアップのための講座を開き、行政も一体となって支援しています。

市政・学校・市民の一体となった、多面的な取り組みの積み重ねが、学校教育の充実による、子どもの「人間力」「社会力」育成と、学校教育への市民の信頼につながっていると感じました。

<予算>

○三鷹市の学校教育予算
43億円(施設改修など)    に対して、

○コミュニティスクール及び学校運営協議会関係費(報酬など)
約450万円

○小中一貫教育校関係費約(嘱託職員報酬や英語教育費など)
6200万円

予算面から見ても、コミュニティスクールが市民のボランティアに支えられ、小さな費用で大きな成果をあげているということが分かりました。

また、地方創生のモデルであるとも、感じました。


三鷹市教育委員会はじめ、教職員の方々、そして、連携・協力する地域の皆さまが一体となって子どもたちの人間性、能力、学力を育んでいるご努力に敬意を表します。


視察の機会を調整いただきました公明党三鷹市議会の寺井均 議員(市議会文教委員会副委員長)、赤松大一議員、粕谷稔議員、大倉あき子議員、ありがとうございました。


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<国の施策>

平成27年度国の予算で、コミュニティスクール等導入促進事業として1億5700万円が計上されています。(1/3補助) 

450区市町村分となっていますので、同じ予算が使われる110箇所の研修費を除くと、単純平均で1件あたり20~30万円位。