人を叩くのではなく、人の力を生かす行政改革をやらせていただきたいと思っています。




そのためには、公務員の方や公益的事業に携わる方々が、自発的に改善に取り組み、それが評価される仕組みをつくる必要があります。


今は、公務員の方が改善 に取り組んで無駄を減らしても、多くの場合、むしろ評価されず、逆に予算や人が減らされて大変になるだけということになりかねません。


改善の意欲ある若者が、かえって上司にけむたがれる、ということもあるかもしれません。


それでは、なかなかやる気がおきませんよね。


また、現場を理解していない上や外から、無茶な改善を押し付けられるようなことがあれば、良識ある人でさえ抵抗するのも、自然なことと言えます。


そうさせてはいけないと思います。


利益重視で責任の所在がはっきりしており、トップダウン型がはまりやすい民間企業と、人事がコロコロ変わり責任の所在がはっきりせず、かつ簡単に撤退できない公益サービスを行う行政組織とでは、業務改善の仕方は、異なると感じています。


一番良いのは、事情を知る現場からあがってくる、改革や改善の提案が実行されていくことです。


そのためには、行政の組織や職員の努力を適切に評価する制度を作る必要があります。


そして、それを着実に運用して、国民・住民のために成果を出していけるようにするために、その前提として、行政の仕事とコストを、「見える化」することが必要なのです。


その一環として独立行政法人改革で、この4月から、法人の目標設定を、達成度が客観的にわかるよう具体的にします。そして、目標達成のためにかかったコストが明確になるよう、事業のまとまりごとの会計を行うことになります。


国民から見て、費用対効果がなるべくわかるようにする、ということでです。


一般の人が見て分からなくても、何をしているか見えるようにすることで、専門知識をもつ国民が、「その目標設定はおかしい」とか、「この目標にしてはコストがかかりすぎている」と、気づくキッカケができるだけでも、チェック機能としては格段にあがります。


一方で、「見える化」は、独立行政法人側にもメリットがあります。「独立行政法人は全て無駄だ」という意見にも、必要性と存在意義を説明する術をもつことにつながるからです。行政全般に言えることですが、今は、他の人にはなかなか理解できない言葉で、定性的な必要性しか説明できないがゆえに、国民に必要な事業さえも、無駄だという意見をもつ人から、一方的にやりこめられるだけになっているように思います。それでは、サービスを使っている国民も困ります。


「我々の業務は評価は難しいよ」と開き直らず、ご負担下さっている国民・住民に理解していただける説明を、考えてみていただきたいと思います。


さて、独法改革ですが今後、主務省庁と独立行政法人自身がこの制度改正の趣旨を理解して、どこまで自発的に取り組めるかということが鍵になってくると思います。そのために、主務省庁と総務省側の適切なモニタリング体制が必要です。


公明党行革本部独立行政法人・特別会計改革委員会(委員長:若松かねしげ参議院議員、事務局長:杉ひさたけ参議院議員)で、その進捗状況を確認しています。


いわば、ダブルモニタリングです。


行政府のモニタリングが機能しているかを、立法府の政治家がチェックするのです。


行政府が機能していない場合には、政治家のリーダーシップで変えなければなりません。


そのために、有権者からこの立場を頂いているのだと肝に銘じています。


私は一昨年、昨年と、前委員長の大口衆議院議員と共に、前事務局長として、この独立行政法人の制度改正に携わらせていただきました。


80以上ある法人の取り組みを横断的に見ることは大変な作業ですが、良い取り組みをしているところを見つけて、拾い上げていきたいと思います。


それをモデルにして、他の法人を引き上げるためです。ダメなところを叩くことは簡単ですが、そうではないやり方で、全体を良くしていきたいのです。


職員の皆さんが行政サービス向上に力を発揮し、それが適正に評価される環境をつくることで、国民に尽くし信頼される行政組織となっていくよう変革していきたいと思います。


今回の独立行政法人改革は、その一歩です。


地方公共団体も、公益サービスを提供する団体も、そして、中央省庁も、お客様である国民・住民に奉仕することを一番の行動目的とするように、変革が求められていると思います。


国民・住民から、信頼される行政をつくること。


それが、公明党が目指す、「支えあう社会」の基盤となっていきます。


日本を世界一、人が支えあい、幸せに暮らしていける国にしたいです。