超小型衛星の設計開発を行う「アクセルスペース」社へ。


社長は35歳の中村友哉氏で、平成20年創業のベンチャー企業です。


政府系金融機関である日本政策金融公庫新宿支店の資本性ローン活用の第一号ということで、訪問させていただきました。




世界最大の気象情報サービス会社のウェザーニュース社が北極海航路に関する海氷情報を海運会社に提供するための自社衛星をもつことに決め、アクセルスペース社が設計・開発し、平成25年11月に打ち上げられました。


同社の衛星は4~5人のチームで、1基3億円(従来の1/100のコストで)程度で開発。ヘリコプター位の値段ということで、今もさらにコストダウンを進めています。


これまでの衛星とは異なる領域(広さ、粗さ、スピードなど)で、リアルタイムで画像提供ができるインフラをつくり、そのインフラを利用したサービス提供を行うことで、同社の言葉をお借りすると「アタリマエの宇宙」「手の届く宇宙」を実現することを目指しています。


従来の衛星がスーパーコンピュータなら、同社の超小型衛星によるサービスをスマホなみに普及させたい、というようなイメージです。


日本企業は製品に過度な品質を追求して、低価格の海外製品に負け続けている場合が少なくないと感じてきましたが、同社は徹底して顧客ニーズをくみ上げることで、不要な性能とテスト工程を徹してそぎ落とし、コストダウンを実現していました。


今回は起業家支援政策の調査目的で伺ったのですが、「売れる日本のモノづくり」という政策課題の分野においても、大変示唆に富む話でした。


 

農林水産業分野での活用も、視野に入っています。津波や、ゲリラ豪雨・土砂災害などの到達を予測に使うことで、大切な命を守るための防災・減災に超小型衛星の情報が役立つ可能性も感じました。


同社の話を伺い、日本の産業と雇用を生み出すエンジンたる起業家の活躍のために、政府系金融機関が果たしていくべき役割について確認することができました。