公明党環境部会で、環境省・農水省連携事業として実施されている木質バイオマスエネルギー活用の視察に、福島県鏡石駅が最寄りの須賀川市へ。



<木質バイオガス発電>

小規模でも効率よくエネルギー化できるという木質バイオガス発電施設。



一般的な木質バイオマス発電は、これとは異なり、ガス化せずに燃焼する設備で、大型化するほど効率がよくなりますが、原料となる木材が十分集まる場所でなければできず、日本の中で適した場所が豊富にあるわけではないようです。




ここで実証している木質バイオガス発電は、いったん炭にしてガスを発生させ、ガスエンジンで電気と熱(コージェネレーション)を発生させるというタイプで、小規模でも効率よくエネルギー化できるということでした。原料となる木質チップ約880kgで150kw/hの電気、そして、熱が生まれるそうです。

1年間で8千トン程度の木材が集まれば稼働できるということで、都市部の剪定枝も木質バイオガス発電の原料として視野に入ってきそうです。たとえば、東京都下のある市では、年間3千トンの剪定枝が出ています。



発電量だけ見ると、一般的に小型バイオマス発電はコスト高といわれますが、熱を活用することでコストが見合ってきます。

こちらの設備では、電気と一緒に出来る熱で、木質チップを乾燥させると共に、お湯をつくっています。(ボイラーでお湯を沸かすのと同じです。)



<ゼオライトを使った放射性セシウム除去設備>

そして、そのお湯を使って、汚染された木の皮を洗浄し、放射性セシウムを除去してゼオライトに吸着させ、放射性廃棄物を減容化させる実証実験が行われています。

木に放射性セシウムが付着しているかどうか一本一本検査する機械を開発し、付着したものは分別しトレーサビリティ管理も行われています。汚染されていない木材が発電に使われていました。



原発被災地では、セシウムなど放射性物質を除去して環境を元に戻すことに加えて、除去した後の汚染物質の保管場所の確保が大きな課題となっています。保管場所の制約から汚染廃棄物の量を小さくすることは非常に重要です。しかし、減容化するために焼却しようとしても、焼却施設の建設について、住民の方々のご理解を頂くことは、決して容易ではありません。

この設備は焼却ではなく、吸着剤であるゼオライトを使用して汚染廃棄物を減容化し、汚染物は遮蔽容器に封じ込めて仮保管されていました。今後森林除染で出てくる汚染された木材の処理について、焼却に代わる方法と感じました。

放射性物質の除去は大変やっかいで難しい問題です。しかし、ふるさとに帰ることを願い、待っていらっしゃる方々のことを思うと、少しでも早く、放射性セシウムを除去して閉じ込め、汚染された地域を、元の環境に戻していかなければならないと思います。

また、豊かな森林に恵まれた福島県では、自治体から、森林除染とあわせ林業再生も求められています。里山は、人の手を入れて管理しなければ、荒れて川も汚れてしまうと伺いました。自然環境を守るためにも、こうした実証事業で開発した技術やシステムを役立てていくことが重要だと思いました。

汚染木材を産業廃棄物として処理する費用に7万5千円/トンかかっているというデータがあります。(地域によって差があります) 一方でこの施設内での洗浄除染の処理費用は1万2千円と試算されており、設備費用なども考えてみる必要はあるとは思いますがコスト的にもこちらの方法が良いようです。また、ほとんどの設備は県内で製造できるということで、福島県の産業・雇用にもつながっていく可能性があります。

福島再生のため、果敢に課題解決に取り組んでいらっしゃる皆さまに心から敬意を表します。

他の技術についても勉強していきたいと思います。