9月に公会計制度、エネルギー・環境分野の政策課題の調査のため、ヨーロッパに視察に行ってまいりました。20件以上の面会と視察をさせていただき、ひとつひとつ内容が濃かったので、それぞれにご報告申し上げます。
まずは、地産地消のエネルギー、バイオガスプラントです。
日本でも神戸市東灘処理場の下水汚泥によるバイオガスが有名です。
捨てるものが資源になり、産業と雇用を生み出し、廃棄物処理に使う化石燃料を減らし、二酸化炭素排出も抑制する取り組みです。
少し先の取り組みをしているところがスウェーデンの郊外にあるということを知りました。
場所は、ストックホルムから車で3時間。
ノーベルが最期に過ごした家が残る、カールスクーガ市。
うっすら紅葉が始まり、森が美しい。
最新のプラントへ。
後の白いサイロのようなものは原料となる資源ゴミを発酵処理する消化タンク。
原料は、
①家庭ゴミ
写真はゴミ処理の過程で、磁石のついた機械で分別された金属類。
スウェーデンは分別がしっかりしているとTV番組で紹介されていたのですが、ホテルの部屋は分別ごみ箱がないので「あれ?」と意外に思っていました。現実にはやはり色々なゴミが混ざってるんですね。
金属、紙、プラスチックなど余計なものが取り除かれた家庭ゴミは、生ゴミと土砂のような感じです。
②牛豚の排泄物(回収トラックからこの施設内に流し込まれます)
③クローバー(後ろの白いシートで覆われているもの)
「4枚葉があるとラッキー」と言われて分かりました。(^-^)/
バイオガスプラントで3種類(家庭ごみ、家畜排泄物、植物)を一緒に処理する機能をもつのは珍しいとのこと。
下の写真は、二酸化炭素除去装置の施設内。二酸化炭素など不純物を取り除くと、天然ガスと同じように自動車燃料や都市ガスとして使えるようになり、用途が広がります。
たくさんの管が複雑に入り組んだシステムでした。
日本でも、バイオガスの二酸化炭素除去には神戸市がいち早く取り組み、実現していらっしゃいますが、全国的普及はこれからというところ。
しかし、この分野では、日本も環境先進国と言われるスウェーデンも立ち位置は同じともいえるので、今後いい意味での競争をしていきたいですね。
二酸化炭素が除去されたバイオガスは、パイプラインでカールスクーガ市内のガスステーションに送られます。
これら設備総投資は150Mクローネ(日本円で22億円位)。
スウェーデンでは、社会保障は手厚いですが、産業補助金のようなものは少ないそうで、各事業体が限られた予算でいかに採算をとり、効果を上げられるようにするかという意識をもって知恵を使って、工夫がなされているように思いました。
普及のためには採算性がとても重要です。
いくら初期投資と運営費がかかり、いくら収益があがるか。コストを採算内に抑えるために余計な機能をどう落としているか。経営面においても、カールスクーガのバイオガスプラントには学ぶところが多そうで、もう少し追加調査したいところです。
さらに、カールスクーガでは、これと別に、廃棄物から水素をつくり二酸化炭素除去して燃料電池に使用する製品を開発をしている企業があり、カールスクーガ市議会会長とご一緒にプレゼンを受けさせていただきました。
視察後は、ノーベル博物館見学と関係者交歓会。
感想
環境を守りながら省エネと産業化を進める取り組みに感銘を受け、感動するとと同時に、視察しながら、日本でも類似の取り組みはあるのに後が続かず普及していないことを、とても惜しいと感じていました。これは政策の進め方にも原因があると思います。
日本では、要素技術はそれぞれ最高のものをもっているものの、実証実験の際に補助金ありきで素晴らしく高級なものをつくってしまい、後で普及・展開するのにハードルを高くしている場合もあるのではないかと思います。
スウェーデンでは、どうしたら採算がとれるか、どうしたら売れるか、定着するかということを常に考えて実用化し、産業にもつなげているように感じました。このプラントでも国内製にこだわらず、デンマークやオランダのものも組み合わせていました。
今後の我が国のエネルギー・環境分野の政策においては、自治体や地域に根ざす企業・組織が主体的に省エネ・二酸化炭素削減に取り組むことを財政と企画立案の面から支援すること、及び、納税者のお金を有効に使うために、ある程度完成した技術による実証実験への補助金は、実用化と普及(低コスト化)に資するかという視点を入れ、効果の高い事業に集中していくことも必要だと感じました。
政策改善につながるヒントを得ることができ、最新の技術や現場での実用状況を垣間見ることもできて、色々な意味で短時間ですが有意義な視察となりました。
ご協力くださった皆さまに感謝申し上げます。
http://www.karlskogaenergi.se/privatkunder/biogas
http://www.metacon.se/eng
まずは、地産地消のエネルギー、バイオガスプラントです。
日本でも神戸市東灘処理場の下水汚泥によるバイオガスが有名です。
捨てるものが資源になり、産業と雇用を生み出し、廃棄物処理に使う化石燃料を減らし、二酸化炭素排出も抑制する取り組みです。
少し先の取り組みをしているところがスウェーデンの郊外にあるということを知りました。
場所は、ストックホルムから車で3時間。
ノーベルが最期に過ごした家が残る、カールスクーガ市。
うっすら紅葉が始まり、森が美しい。
最新のプラントへ。
後の白いサイロのようなものは原料となる資源ゴミを発酵処理する消化タンク。
原料は、
①家庭ゴミ
写真はゴミ処理の過程で、磁石のついた機械で分別された金属類。
スウェーデンは分別がしっかりしているとTV番組で紹介されていたのですが、ホテルの部屋は分別ごみ箱がないので「あれ?」と意外に思っていました。現実にはやはり色々なゴミが混ざってるんですね。
金属、紙、プラスチックなど余計なものが取り除かれた家庭ゴミは、生ゴミと土砂のような感じです。
②牛豚の排泄物(回収トラックからこの施設内に流し込まれます)
③クローバー(後ろの白いシートで覆われているもの)
「4枚葉があるとラッキー」と言われて分かりました。(^-^)/
バイオガスプラントで3種類(家庭ごみ、家畜排泄物、植物)を一緒に処理する機能をもつのは珍しいとのこと。
下の写真は、二酸化炭素除去装置の施設内。二酸化炭素など不純物を取り除くと、天然ガスと同じように自動車燃料や都市ガスとして使えるようになり、用途が広がります。
たくさんの管が複雑に入り組んだシステムでした。
日本でも、バイオガスの二酸化炭素除去には神戸市がいち早く取り組み、実現していらっしゃいますが、全国的普及はこれからというところ。
しかし、この分野では、日本も環境先進国と言われるスウェーデンも立ち位置は同じともいえるので、今後いい意味での競争をしていきたいですね。
二酸化炭素が除去されたバイオガスは、パイプラインでカールスクーガ市内のガスステーションに送られます。
これら設備総投資は150Mクローネ(日本円で22億円位)。
スウェーデンでは、社会保障は手厚いですが、産業補助金のようなものは少ないそうで、各事業体が限られた予算でいかに採算をとり、効果を上げられるようにするかという意識をもって知恵を使って、工夫がなされているように思いました。
普及のためには採算性がとても重要です。
いくら初期投資と運営費がかかり、いくら収益があがるか。コストを採算内に抑えるために余計な機能をどう落としているか。経営面においても、カールスクーガのバイオガスプラントには学ぶところが多そうで、もう少し追加調査したいところです。
さらに、カールスクーガでは、これと別に、廃棄物から水素をつくり二酸化炭素除去して燃料電池に使用する製品を開発をしている企業があり、カールスクーガ市議会会長とご一緒にプレゼンを受けさせていただきました。
視察後は、ノーベル博物館見学と関係者交歓会。
感想
環境を守りながら省エネと産業化を進める取り組みに感銘を受け、感動するとと同時に、視察しながら、日本でも類似の取り組みはあるのに後が続かず普及していないことを、とても惜しいと感じていました。これは政策の進め方にも原因があると思います。
日本では、要素技術はそれぞれ最高のものをもっているものの、実証実験の際に補助金ありきで素晴らしく高級なものをつくってしまい、後で普及・展開するのにハードルを高くしている場合もあるのではないかと思います。
スウェーデンでは、どうしたら採算がとれるか、どうしたら売れるか、定着するかということを常に考えて実用化し、産業にもつなげているように感じました。このプラントでも国内製にこだわらず、デンマークやオランダのものも組み合わせていました。
今後の我が国のエネルギー・環境分野の政策においては、自治体や地域に根ざす企業・組織が主体的に省エネ・二酸化炭素削減に取り組むことを財政と企画立案の面から支援すること、及び、納税者のお金を有効に使うために、ある程度完成した技術による実証実験への補助金は、実用化と普及(低コスト化)に資するかという視点を入れ、効果の高い事業に集中していくことも必要だと感じました。
政策改善につながるヒントを得ることができ、最新の技術や現場での実用状況を垣間見ることもできて、色々な意味で短時間ですが有意義な視察となりました。
ご協力くださった皆さまに感謝申し上げます。
http://www.karlskogaenergi.se/privatkunder/biogas
http://www.metacon.se/eng