東京農工大のイノベーション視察レポートです。
砂糖を使っていないとは信じられない、甘いジャム。(非売品)
下の写真は販売用のジャム。グラニュー糖入りですが、ペクチン不使用。生のブルーベリーの食感が残りつつ、旨みが凝縮している感じがします。
売り出されると、すぐ品切れになるということでした。
甘くておいしい。
それだけでは珍しくないかもしれません。
植物工場で果樹生産
このブルーベリーは先端の植物工場で作られているのです。
日本初、(世界初かもしれません) 経済産業省予算
植物工場は閉鎖的な空間で植物をつくる場所です。
害虫や冷夏暖冬などの影響を受けず、安定して生産できることがメリットですが、問題は電気代など高いコストといわれます。
高く売れる可能性がある、「果物」を生産できないものか---------。
そこで、初めて果物の植物工場に挑んだのが東京農工大学です。
閉鎖された空間に並ぶブルーベリーの鉢植え。
同じ鉢で、年に2回収穫したり、一年中収穫したりする試み。
現段階では、年に2回収穫のほうが収量が多いようです。
収穫が終わり、晩秋、冬部屋で春を待つ鉢。
品質と生産性の追求で収量6倍へ
収量6倍を目指しています。
研究やセミナー情報はこちらをご覧ください。
東京農工大学先端植物工場研究施設
http://www.tuat.ac.jp/~plant-f/index.html
4年前に粒がひとつでき、今は”たわわ”に実るまでに研究が進みました。
参入しやすいビジネスモデルが必要
この技術を一般国民が使えるようになるのはいつでしょうか。
実証プロジェクトが、農工大と被災地と埼玉の企業でスタートしています。
(農水省予算)
リース方式の分業による商業化です。
☆ 農工大で苗生産、開花 ⇒ 農家にリース、果実収穫
さらには、
☆ 民間企業で苗生産、開花 ⇒ 農家にリース、果実収穫
管理が難しい部分は専門企業の施設で行い、一般生産者は開花した後の鉢をリースで仕入れてハウス栽培に近い形で収穫して販売。収穫が終わった鉢を返還して、専門業者の施設で高度な管理のもと花を咲かせるところまで行い、またリースするというのを繰り返すのです。
これは目からうろこでした。
研究施設の片隅ではサクランボも実験中、今後はブドウも視野に。
学生さんが置いたイチゴの鉢もありました。
一鉢6000円位でリース、その鉢から収穫したものを市場販売し、商売が成り立つかを実験するそうです。
植物工場のよいところは品質、出荷時期を安定させられることで、価格の高い時期にも生産が可能になります。
ハチが受粉中の部屋。
観葉植物を兼ねて、家庭やレストランでのリースもありでしょうか?
技術開発が進み、他の果物もできるようになれば同じハウスで、今はブルーベリー、次はサクランボ、その次はブドウ、ということもありえるでしょう。
農業のイメージが変わる
農工大では鉢を動かすロボットや作業が軽くなるスーツロボットも開発。腰や首を痛めず、健康で作業をずっと続けられたら素晴らしい。無理して体を悪くしてから医療や介護に高額のお金をかけるより、悪くならないようにロボットにお金をかける方がご本人も社会全体としてもいいことです。
農工大では女子学生の割合も4割、女性教員の人数も増加。
重労働で生産性が低いというイメージをガラッと刷新していくような変革、日本の農業の新しい可能性を感じました。
潜在的なマーケット規模
近年、果実輸入の割合は著しく増加しています。
見方を変えると、技術開発が進み果物植物工場が価格競争力をもてるようになったら、下の表にあるように現在の果実輸入額2340億円がそのままターゲットと考えられるのではないでしょうか。
(注:財務省の貿易統計では3500億円)
(農水省)
技術開発による低コスト化はまだまだ可能性があると感じます。
当然、高品質の上に、価格競争力をもてば国内だけでなく、輸出も視野に入ってくるでしょう。
狭い国土にもかかわらず農業競争力のあるオランダ(アメリカに次ぐ世界第二位の輸出国)では徹底してマーケットを見て、大学の研究を商業化に結びつけています。
しかし、個々の技術は日本も負けないような気がします。
結び
今日本に必要なことは、技術をビジネスに結び付ける力。
東京農工大学で見せていただいたような優れた技術をビジネスにつなげ、被災地および全国で産業・雇用を生み出していけるよう後押ししていきたいです。
ロボット利用による自動化・省力化、コジェネ、バイオマス、排熱、雪氷熱等と施設栽培の組み合わせによる省エネ・発電、CO2活用のトリジェネなど、農業分野では普及促進すべき技術、成長の伸び代が沢山あると思います。技術開発を推進すると同時に、農家さんやこれから農業をやりたいという若者や女性や障がいをもつ方や高齢者など意欲ある方々が、これらの技術を使って仕事を得ることができるよう後押しする政策が必要であり、かつ有望な分野だと感じました。
実際に現場を見せていただくと多くの示唆を頂きます。
松永学長、西村副学長、荻原教授、ご関係の皆様に敬意を表し感謝申し上げます。
砂糖を使っていないとは信じられない、甘いジャム。(非売品)
下の写真は販売用のジャム。グラニュー糖入りですが、ペクチン不使用。生のブルーベリーの食感が残りつつ、旨みが凝縮している感じがします。
売り出されると、すぐ品切れになるということでした。
甘くておいしい。
それだけでは珍しくないかもしれません。
植物工場で果樹生産
このブルーベリーは先端の植物工場で作られているのです。
日本初、(世界初かもしれません) 経済産業省予算
植物工場は閉鎖的な空間で植物をつくる場所です。
害虫や冷夏暖冬などの影響を受けず、安定して生産できることがメリットですが、問題は電気代など高いコストといわれます。
高く売れる可能性がある、「果物」を生産できないものか---------。
そこで、初めて果物の植物工場に挑んだのが東京農工大学です。
閉鎖された空間に並ぶブルーベリーの鉢植え。
同じ鉢で、年に2回収穫したり、一年中収穫したりする試み。
現段階では、年に2回収穫のほうが収量が多いようです。
収穫が終わり、晩秋、冬部屋で春を待つ鉢。
品質と生産性の追求で収量6倍へ
収量6倍を目指しています。
研究やセミナー情報はこちらをご覧ください。
東京農工大学先端植物工場研究施設
http://www.tuat.ac.jp/~plant-f/index.html
4年前に粒がひとつでき、今は”たわわ”に実るまでに研究が進みました。
参入しやすいビジネスモデルが必要
この技術を一般国民が使えるようになるのはいつでしょうか。
実証プロジェクトが、農工大と被災地と埼玉の企業でスタートしています。
(農水省予算)
リース方式の分業による商業化です。
☆ 農工大で苗生産、開花 ⇒ 農家にリース、果実収穫
さらには、
☆ 民間企業で苗生産、開花 ⇒ 農家にリース、果実収穫
管理が難しい部分は専門企業の施設で行い、一般生産者は開花した後の鉢をリースで仕入れてハウス栽培に近い形で収穫して販売。収穫が終わった鉢を返還して、専門業者の施設で高度な管理のもと花を咲かせるところまで行い、またリースするというのを繰り返すのです。
これは目からうろこでした。
研究施設の片隅ではサクランボも実験中、今後はブドウも視野に。
学生さんが置いたイチゴの鉢もありました。
一鉢6000円位でリース、その鉢から収穫したものを市場販売し、商売が成り立つかを実験するそうです。
植物工場のよいところは品質、出荷時期を安定させられることで、価格の高い時期にも生産が可能になります。
ハチが受粉中の部屋。
観葉植物を兼ねて、家庭やレストランでのリースもありでしょうか?
技術開発が進み、他の果物もできるようになれば同じハウスで、今はブルーベリー、次はサクランボ、その次はブドウ、ということもありえるでしょう。
農業のイメージが変わる
農工大では鉢を動かすロボットや作業が軽くなるスーツロボットも開発。腰や首を痛めず、健康で作業をずっと続けられたら素晴らしい。無理して体を悪くしてから医療や介護に高額のお金をかけるより、悪くならないようにロボットにお金をかける方がご本人も社会全体としてもいいことです。
農工大では女子学生の割合も4割、女性教員の人数も増加。
重労働で生産性が低いというイメージをガラッと刷新していくような変革、日本の農業の新しい可能性を感じました。
潜在的なマーケット規模
近年、果実輸入の割合は著しく増加しています。
見方を変えると、技術開発が進み果物植物工場が価格競争力をもてるようになったら、下の表にあるように現在の果実輸入額2340億円がそのままターゲットと考えられるのではないでしょうか。
(注:財務省の貿易統計では3500億円)
(農水省)
技術開発による低コスト化はまだまだ可能性があると感じます。
当然、高品質の上に、価格競争力をもてば国内だけでなく、輸出も視野に入ってくるでしょう。
狭い国土にもかかわらず農業競争力のあるオランダ(アメリカに次ぐ世界第二位の輸出国)では徹底してマーケットを見て、大学の研究を商業化に結びつけています。
しかし、個々の技術は日本も負けないような気がします。
結び
今日本に必要なことは、技術をビジネスに結び付ける力。
東京農工大学で見せていただいたような優れた技術をビジネスにつなげ、被災地および全国で産業・雇用を生み出していけるよう後押ししていきたいです。
ロボット利用による自動化・省力化、コジェネ、バイオマス、排熱、雪氷熱等と施設栽培の組み合わせによる省エネ・発電、CO2活用のトリジェネなど、農業分野では普及促進すべき技術、成長の伸び代が沢山あると思います。技術開発を推進すると同時に、農家さんやこれから農業をやりたいという若者や女性や障がいをもつ方や高齢者など意欲ある方々が、これらの技術を使って仕事を得ることができるよう後押しする政策が必要であり、かつ有望な分野だと感じました。
実際に現場を見せていただくと多くの示唆を頂きます。
松永学長、西村副学長、荻原教授、ご関係の皆様に敬意を表し感謝申し上げます。