昨年度の復興予算の未執行分が復興庁から発表されました。
「4割にあたる5兆8728億円が年度内に執行されていない」とありますが、このうち4兆7694億円は、既に事業に着手しており、完了前で支払いが行わ れていないもので、余っているわけではありません。使われなかったものは、1兆1034億円ですが、これは基本的に今年度以降の復興事業のために使われる予定ということです。

実は、この発表がされた背景には、私の「財政見える化」の活動があります。
 
これまで阪神淡路大震災など大規模災害の復興予算は、このような形で執行分・未執行分を集計した事はなかったのです。
民間企業なら驚くことですが・・・。

昨年、私が提案して、東日本大震災復興基本法の中に、復興資金の透明化、区分経理することを明文化させることができました。


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その目的は、必要な事業に速やかに予算が使われていることを確認できるようにすること、何に使われたかを被災者そして負担する側の国民に分かるようにすること、そして、余ったからといって安易に目的外の事業に使われないようにすることです。

今回、集計・公表されることによって、私たち国民は初めて、予算執行状況から復興事業の進捗の一面を把握することができるようになりました。

システムの問題もあり作業は容易ではないのですが、基本法に明文化し、委員会でも何度もとりあげ、さらに、財務省の担当課とガチンコで詰めて、実施に至りました。
当初は、「できない」「難しい」とさんざん言われましたが、一方的に「やれ」というだけでなく、具体的なやり方も私から提案してきました。

11月頃には、もう少し詳しく「何に使われたか」まで把握することを目標に作業しているということです。

それが出てくると、復興予算のお金の使われ方が分かるだけでなく、今後の災害に備えて防災・減災のために、何にいくらかけるべきかを検討する材料ともなると思います。
たとえば、仮設住宅整備に、1戸あたり632万円かかったと報道がありましたが、この金額を聞くと、
きっと、被災者の方も、負担する国民も、様々な感想や意見をおもちになることでしょう。
それが、次の制度改善につながる貴重な材料となります。

よりよい使い道を考えていくために、私たちの税金が何にいくら使われたかを、「見える」ようにすることは、とても大切なことです。

政府は、私たち国民の税金の使い途について、もっともっと、分かるように説明していくべきです。

民間の競争原理が働く中でモノやサービスを買うときには、私たち消費者は、価格が高すぎると感じれば「買わない=お金を払わない」という行動を選択することができます。しかし、公共サービスはそうはいきません。
皆で税や保険料で負担しあっているサービスを無料あるいは一部の利用料負担で使うので、コストを意識する機会はあまりありません。
また、お金を払う人とサービスを受ける人が一致しないことが多く、公共サービスの価格が適正であるかどうかをチェックすることはなかなかできません。
分からないのですから、「どこにそんなにお金がかかっているのか」と、国民が思うのは当然です。

だからこそ、行政側の「見える化」「見せる化」する努力が必要になります。
無駄の洗い出しのためにも必要ですが、何にいくらどのような形で還元されているのか、負担している国民、サービスを受けている国民が知り、それが適正なものかを判断するために必要な情報なのです。

国会質問や財務省や総務省との打ち合わせの中で、ことあるごとに訴えています。
少しずつですが、理解してくださる人も確実に増えてきていると感じています。

今回の復興予算で、「見える化」が一歩前進中です。


他の予算についても、こうして「見える化」していけるように、粘り強く取り組んでまいります。