竹谷とし子です。

「希望学」――このタイトルを見るだけで、なんて心はずむことでしょう。

竹谷とし子ブログ

全4巻(東京大学社会科学研究所・玄田有史・宇野重規編)。刊行にあたって、「『希望学』を知らずして、今後、希望は語れない」と、つづられています。

「希望学」とは、経済学、社会学、政治学、法学、歴史学、哲学、人類学などを総合した独自の研究です。各章は、研究者たちの論文で構成されており、とても読みごたえがあります。。。

「希望」の定義について本書では、「希望は、私たちを未来に向かって行動させる原動力である」と書かれています。

本当にその通りだと思います。
ただ単に未来を夢見る、というものではなく、過去に対して真摯(しんし)に向き合うことで、自らの現状を問い直し、さらには未来へと向かう力を得るのです。

本書の中では、“国民総幸福”(とっても、いい言葉ですね!)の国づくりの実践として、ヒマラヤの小国・ブータン王国についての研究が紹介されています。

どこかの国の首相が「最小不幸社会をつくる」と語っていましたが(それはそれで意味がありますが)、だれもが幸福を感じる社会への取り組みは、なんて素晴らしいことでしょう。

ブータンでは、「あなたはどれくらい幸福ですか?」との問いに、10段階評価で6.9。「大いに幸福」と答えた人は全体の16%にもおよび、「まったく幸福ではない」という人は、わずか1.4%。ブータンの人々の幸福感はとても高いのです。

ある20代の男性は、「ブータンという国そのものに幸せを感じる」との声を寄せていました。
いま、日本の若者が、同じ言葉を語ってくれるでしょうか。

国民が幸福を実現できるような環境整備を主眼にした政府運営を、ブータンでは進めています。これは、大いに参考にするべきものだと思います。

いま日本では、だれもが不安を抱えながら生活をしています。病気や老い、仕事、子育て、経済的な危機…。

そんな“わたし発の不安”に対して、“わたし発の希望”を輝かせていくヒントを、本書では示してくれています。

“希望のはじまり”は、わたしから!――その思いで、日々を過ごしていきたいと思います☆