この本だけは、絶対に読むのが嫌だった。ところが、知り合いがあまりにも面白がるので、つい買ってしまった。
ところがどっこい、序章だけ読んだところでびっくり、とにかく面白いのだ。
7月の東京都知事選で圧倒的な強さで再選された小池百合子。
しかし、本当はかなり怪しい人なんじゃないか? そう疑うのは私だけではないはずだ。
この本の著者は、私の想像が単なる想像ではなくて、ほぼ事実に近いということを説明してくれている。それだけの取材をしているのだ。
著者は、書き出しでこう述べている。
「彼女のことを古くから知るというその人は、躊躇いながらも上ずる声で話し出すと、憑かれたように語り続けた。
『何でも作ってしまう人だから。
自分の都合のいいように。
空想なのか、夢なのか。
それすら、さっぱりわからない。彼女は白昼夢の中にいて。白昼夢の中を生きている。
願望は彼女にとっては事実と一緒。
彼女が生み出す蜃気楼。
彼女が白昼見る夢に皆が引きずり込まれてる。
蜃気楼とも気づかずに』」
実は、この石井妙子さんという著者に、私は一度だけお目にかかったことがある
友人の紹介だった。
その時、石井さんはちょうど『おそめ』という本を出版した直後だった。
『おそめ』は、祇園の芸妓から木屋町のバーを繁盛させて銀座にクラブを開き、白洲次郎も川端康成も通ったという伝説の店のマダムで、いわゆる夜の世界の最高峰に上りつめた女性、おそめを描いている。
石井さんがおそめと本当に親しくなり、おそめはすべてを語ってこの本ができたということがよくわかる。その取材力に感服した。
しかし、面白い本ではあったが、私には読後感はほとんどない。
ヤクザ映画を見ているようなもので、私の生活と仕事とほとんど結びつくことがないからだ。
ところがこの『女帝 小池百合子』は、読み出したらもうどうにも止まらない。
小池百合子は、ちょうど私が地方議員をしていた頃に同じ日本新党に所属していたのでツーショットの写真まである。(はずかしい)
その後も政界再編成, 東京都知事選,希望の党の失敗など、激しくうろちょろする厄介なお方で、無視することはできない存在だからだ。
4年前の東京都知事選の直後、私は本当に嫌な人が知事になったと思った。
そしてその1年後の東京都議会議員選挙では、都民は小池百合子率いる都民ファーストの会の候補者を大量に当選させた。なぜなのか。
言ってみれば、自民党はもう嫌になったけれど、当時の野党第一党である民進党にも魅力を感じられない人が、新しいものに興味を持ち投票したのだろう。
そう考えれば、来年の東京都議会議員選挙で、都民ファーストの議員が一定の存在感を持って議会に残ることはないだろうと予測はつく。
しかし小池百合子の強さは、一時的な政治ショーを何回でも繰り返すことができるというところにあるのだ。
なぜ小池は強いのか、そして、なぜ私はいつも小池百合子という人に強烈な違和感を感じるのか。皆さんに伝えたいのはこの違和感だ。
小池は、もしかして総理になるかも知れない人だから。
いやいや、総理になってくれては困る人だから。
(続く)