言わずと知れた作詞家阿久悠氏の本を読んだ。

5000以上もの曲を世に送り出し、日本歌謡史に残るヒット曲も数知れず。

常に今世間はどんなことに飢えているのか、という飢餓感を意識して、その時代にあった曲を送り出していった。

もともと作詞家になりたくてなったわけではないらしいが、歌謡曲の新たな流れをつくった一人に間違いない。

当時歌詞にはある程度のルールに基づいて、つくられてたのを応用し新しい展開へと発展させていった。

中でも代表作の尾崎紀世彦氏の『また逢う日まで』は今までの失恋の歌とは全く新しい視点で描かれている。

それは『二人でドアをしめて』という歌詞である。

これが当時新しかったのだ。

ただ本人はそこではなく他の部分の歌詞の方がもっと伝わると思っていたらしい。

阿久悠ほどの人でも歌詞は結局、できあがってから歌手が歌うのを客観的に聴いてからわかることが多いという。

気をつけないといけないのは、ただ新しいものをつくっても意味がないと言うこと。
今何に飢えているのか、見極めなければいけないのである。
そして今新しいものをつくるとそれはもう古くなるのだ。

しかも歌詞を書くためには自然体でなければいけない。
自然体をつくりだす日常の思考に「歌謡曲論」「文化論」「日本人論」があるのだという。

こんなことを’72年当時書いている。
そして彼は一日18~19時間働いていたという。

その後シンガーソングライターが出て来たことによって、曲自体の質がおちてきたのを残念に思っていたに違いない。

今、メロディー重視、リズム重視のこの時代の歌を阿久悠はどう思うだろうか?

また言葉が空を飛んでないというだろうか。



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