小唄備忘録500番ーその190「やくのは野暮」 | 江戸小唄と三味線のブログ

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嫉妬するのは野暮と知っていても、そうしてしまう、貴方は罪な人よという小唄です。

 

寂しい言い回しですが、解説のように現代的な解釈も楽しめます。曲調も弾むようで終盤は色気も感じさせます。

 

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解説:意訳は、嫉妬するのは野暮と知っていながら、あの嬉しがらせるうまい口前で、他所でもそうしているかと思うと胸に針をさされる思いだ。罪な人であることよ、というものです。相手はよほどのイイ男なのかもしれません。

 

二上りらしく軽快さもある曲の運びで、浮き立つ二人の関係を思い描いてもよいでしょう。

さらに、もっと現代的に解釈すれば、「罪な人ですよ、いいのですか」と迫っている余韻ありかなという感じです。

というのも、一節目の「やくのは野暮と知りながら」は、有名な「切れてみやがれ ただおくものか 藁の人形に五寸釘」の調を採っているからです。

 

大正三年 作詞渡辺光丸、青木空声合作 作曲吉田草紙庵

吉田草紙庵(写真)がまだ本格的に芝居小唄の作曲にかからない時期の、代表的な小唄と云われています。

 小唄備忘録500番―その190「やくのは野暮」(二上がり)(1分33秒)

 

画は、水野年方「愛の花束」 明治33年(1900)9月 長田秋涛著の小説の挿絵(文芸倶楽部6巻12号)です。