小唄備忘録500番ーその189「夕立や田を」 | 江戸小唄と三味線のブログ

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料亭「葛西太郎」で酒を弾み腹拵えをして、舟で吉原へ繰り出そうとする御機嫌な小唄で、冒頭に宝井其角の句をあしらって興としています。

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解説:其角の句は「夕立や 田を三囲の神ならば」で、向島三囲神社の句碑には「游(ゆ)ふだ地(ち)や田を見めぐりの神ならば」とあり、雨乞いの句としても有名です。

「葛西太郎」は、「平岩」と言った家で後年「千歳湯」となった川魚専門の料亭で、隅田川の異名「葛西太郎」から名を採っています。鯉の洗いは人気の料理でした。

 

「狐拳」は、庄屋・鉄砲・狐の三すくみの拳で、お座敷遊びでも知られています。「竹屋の人オー」は、対岸山谷堀の船宿の竹屋に向かって、よく通る声で呼びかけているところです。

「呼子鳥」は、鳴き声が人を呼ぶように聞こえる処から付けられ、カッコウと云われていますがウグイスやホトトギスなどの説があります。ここでは、舟を呼ぶことに掛けています。

 

 小唄備忘録500番―その189「夕立や田を」(三下がり)(1分32秒)

画は「小唄下町散歩」(平山健著 立風書房刊)(上)と、「注釈小唄控」(木村荘八監修 千紫會編)(中)より、採りました。

 

三囲神社西鳥居下と待乳山聖天社下を結ぶ「竹屋の渡し」は、江戸後期にあった掛け茶屋「都鳥」の女将が、対岸の今戸橋河口にある船宿「「竹屋」に向かい「竹やー」と呼ぶ美声が評判となり「竹屋の渡し」と名付けられました。竹屋の向かいには、著名な船宿有明楼の窓灯りが見えます。江戸三座の猿若町が近いため、芝居見物客もこの船宿を常宿としました。