小唄備忘録500番ーその180「紅葉の橋」 | 江戸小唄と三味線のブログ

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晩秋から初冬にかけての情景を掛詞と天の川の故事を織り込んで描いた唄で、踊りの振り付けに用いられた端唄ですが、ここでは、鳴り物(笛や太鼓)は入らず、早間、語尾の上げ下げ、緩急など、小唄風に唄っています。

 

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明治十二年にアメリカのグラント大統領が来日し新富座に招待した際に、披露した踊りの唄です。

作詞は河竹黙阿弥、作曲は三世杵屋正次郎、振り付けは花柳壽輔です。

来日記念に増上寺に植えた松は「グラント松」として残っています。

解釈:掛詞で進んでいくような曲です。

「紅葉の橋のたもとから 袖を垣根のことづてに」は「着物の袂」「袖をかきあげる」を、「ちょっと耳をばかささぎの」は「耳を貸す」と鳥の「カササギ」を、「霜もいつしか白々と」はカササギの身体の下の白さを、「雪をめぐらす舞の手や」は「雪が舞っている」をそれぞれ掛けています。

 

天の川の故事としては、織姫と彦星が逢うのは鵲(カササギ)橋の上です。

大伴家持の歌に「かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける」があります。

小唄備忘録500番―その180「紅葉の橋」(2分52秒)

 

写真の橋は、伊香保温泉通称「紅葉橋(河鹿橋)」、画は歌川広重「東京名所之内 第一の劇場新富座」、写真の松は増上寺「グラント松」です。