梅に因んだ小唄は数多くありますが、ようやく春めいてきた時節に合った曲として「梅一輪」があります。
服部嵐雪の「梅一輪一輪ほどのあたたかさ」と、芭蕉の「春もやや景色整う月と梅」を初めと中に置いて、逢いたい気分にもなりましたよ、という心持ちを唄った唄です。
本調子で歌詞は、以下の通り。
〽梅一輪 一輪づつに鶯の 歌い初め候 春の景色も整うままに 実は逢いたくなったのさ (平山蘆江作詞 春日とよ作曲 昭和六年作)
駘蕩として品のある雰囲気から「実は~」でくだけて、逢いたい気持ちを、いかに品を保ち凭れずに唄い終えるかが、肝要です。
◎試聴=