おすすめBL漫画『その火はきえない』 | 偏食猫の好きなものを好きなだけ

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柚月りんご『その火はきえない』

 

(あらすじ)

「…エロいな、秋ちゃん」

自分を「ふつう」だと思いたい真面目堅物リーマンの宮澤秋は、ひょんなことから出会ったゲイの桧山瑛二と、借りたタクシー代をタバコで返す関係に。瑛二とキスをしたりセックスまがいに抱き合うのは、借りを返さなければいけないから。だって俺は「ふつう」なんだから…。
優しげな顔で強引に、踏み込んでくる瑛二を拒めない秋。過去への罪悪感と、自分と瑛二の気持ちへの嘘が、まるでタバコの煙のように纏わりついて…。お金から始まった関係が、ふたりの恋と未来に柔らかく火を灯す。苦くて甘い、大人のセンシティブ・ラブ。

 

 

私にも火がつきました!!   94点

 

今回ご紹介するのは柚月りんご先生の『その火はきえない』です。これはよかったです!!すごく好き。シーモアでは読み放題に入っていて、こんな名作が!?と驚愕しました。もちろん私は購入済みです。番外編も何作か出ているのですが、それもコンプリート。これからもできることなら続いてほしいと真剣に思っています!!

 

たまたま居酒屋で隣り合わせた、瑛二と秋。瑛二にタクシー代を借りることになった秋は、タクシー代をお金ではなくタバコにして返してほしいと瑛二に言われます。お金だと一回で終わっちゃうけど、タバコだったら分割できるから(計10回分)って、もうここからすでにいいじゃないですか。こうして一箱ずつ返すたびに2人は距離を縮めていき・・・。

 

瑛二はゲイであることを公言しているフリーのデザイナー。一方、秋は「ふつう」であることを求めて生きてきたサラリーマン。男性を恋愛対象として見る自分を否定し隠して、彼女と結婚寸前までいきながら、結局別れてしまっています。

 

瑛二が吸うタバコの小さな火のように、最初は微かに燃え出した秋の瑛二への想いがずっと消えずむしろ温度を上げていく、そんな繊細な心の動きがセンスのある絵と見せ方で描かれていくのが素晴らしい。初めて瑛二にキスされたときの秋のモノローグ。「名前を呼ばれたその瞬間 心がとらわれる音がした」などなどモノローグもいちいち素敵で余韻がすごい。

 

そして、いつも飄々と秋をリードするような瑛二の過去のある出来事が描かれることで、彼もまた葛藤や辛い思いを抱えてきた孤独な人だということがわかります。だからこそ秋の不器用な優しさが瑛二にとってもなくてはならないものになっていっている場面、めちゃくちゃ良かった!!

 

秋は瑛二によって、葛藤しながらも少しずつ自分の気持ちに素直になり自分を認められるようになるし、病弱な母親のため、妹のために頑張ってきた瑛二は秋が傍にいてくれることで安心して眠れるようになる。2人の関係性の変化と絆の深さを是非読んでみてほしい!!

 

他にも、秋の会社の人たち(山田さんと野崎さん)のキャラが最高!とか、秋の元カノがかわいそうすぎるけどちゃんと瑛二に一矢報いる(かわいいものです)ところがあるのが良かった!!とか良いところをあげたらキリがないですねー。

 

あと、瑛二が秋のことを「エロい」と思っていることが度々描かれるのですが、なんかね、「めちゃくちゃわかるなー」と滾りました。黒髪短髪、背も高いし、結構がっちりしているんだけど、なんかエロさが漂っているんですよね。これって柚月先生の画力とか表現力がすごいってことなんでしょうけど、いやー最高でした。ちなみに、言いにくいんですが表紙の絵よりも本編の絵の方がずっとかわいいし、きれいだし、主人公2人はかっこいいです。

 

番外編も全部楽しいし、2人がさらに仲良くなっていてキュンがすごいしだしで、絶対全部揃えたくなっちゃうと思います。ということで、柚月りんご先生の『その火はきえない』、めちゃくちゃオススメです!!!!