あいみょん 裸の心 | 歌は世につれ、世は歌に連れ

歌は世につれ、世は歌に連れ

生まれてから心に残った歌を綴ってよきます。

朝、通勤し会社近くで気づいたのだが、自分は素っ裸で家を出て来た事だ。

あまりにも朝あわてていたことは確かだが・・・困った。

服を買おうにも、財布も持ってなく自分が無一文である事にも気づき焦った。

とにかく気づいたら、会社近くで、自分が素っ裸だということだ。

 

いったいどうしたと言うんだ・・・わたくしは青ざめた。

確かに、その日朝から暑く、目覚めにシャワー浴びてひげも剃ったが・・・その後

記憶がまったく無いのだ。

これが・・・いわゆる”認知症”と言うやつか???

ついに自分まで来ちゃったのか?

 

それにしても、ここ迄素っ裸でよく来れたものだ・・・内心不思議であった。

そして本当に困ったと思った。

こんな格好で仕事など出来っこ無いからだ。

 

交番にでも行って、事情話してお金借りようか?いやその前に、着るもの借りる必要がある。

いやいや・・・パトカーで家まで送り届けてもらうおうか?

ところで、何処に交番があるんだ?・・まったく困った。

 

わたくしは、それでも会社に向かいがならも必死に頭をめぐらせた。

いやいや・・・まず会社に行って・・・何でもいいからダンボール探して、それで体を隠そう。

それから、同僚にお金借りて、タクシー呼んで、家に帰ろう・・・

 

そこまで考えて、素っ裸で前も隠さず出社したが・・・不思議な事に、誰もわたくしが裸だと

気づいていないみたいだ。

皆自分の仕事しか頭に無いんだ・・・きっと誰もが異常なくらい忙し過ぎるのだな。香

人の事に関心が及ばないんだ。

わたくしは”裸の王様”の話を思い出していた。

ひょっとして、わたくしが裸であることを、誰もが気づいても、裸だと言いだせ無いのかもしれないと

思った。

 

今のうちに何とかしなくちゃ・・・誰かが言い出さないうちに・・・

わたくしはとにかく、急いで会社の郵便室行った。

そこには、宅配便などで届いた空のダンボールがあるはずだから、それでとにかく体を隠そうと考えた。

 

郵便室に行ったら、その日に限ってなんと・・”イクちゃん”が居た。

わたくしが何日も探していたイクちゃんだ。

彼女は、わたくしと同じ歳だから、もうオバチャンだ。

 

”アッ・・・ムラ君・・・・どうしたの?”

イクちゃんは驚いた様に、素っ裸のわたくしを見て、驚き、そして笑った。

オバチャンだから、男の裸を見てもいっこうに恥ずかしがらない。

いや・・その逆だ・・・むしろ痛いくらいの視線をわたくしに送ってくる。

 

”いや・・・その・・・とにかく・・何か・・隠すもの・・無い?”

わたくしは、あわてて彼女に言った。

彼女はわたくしの・・・小さく・・縮こまった、プライベートな部分を見て・・”可愛い!”と言って笑っている。

わたくしは、少々屈辱的な感じを受けたが、”とにかく何かちょうだい・・お願い・・”と言って彼女に懇願した。

”ハイハイ・・・ちょっと待っていて・・・”そうイクちゃんは言って郵便室から出ていった。

しかし、10分待てども来ない・・もう20分近く待っている・・どうしたと言うんだ?

あの日もイクちゃん、途中で居なくなった・・・今日もそうなんか?

わたくしは嫌な予感がした。

30分経過した。

でもイクちゃんは来ない・・・

それにしても・・・わたくしが素っ裸であることに気づいたのは・・・良く考えるとイクちゃんだけだ。

これも不思議だった。

 

そん事を考えながら待っていたら,火災放置器の非常ベルが鳴った・・・”ブー、ブー、ブー”ひょっとして火事か???

ムムム・・・これはまずい・・・皆建物から避難しなきゃならない・・そうすると私だけ素っ裸だ・・

お青ざめた・・・。

 

そしてその非常ベルの音はどこか聴いた音だなあ・・って思っていたら、スマホの目覚まし時計の音だった。

 

夢を見ていたんだと気づいた。

そしてホッと胸をなで下ろした。

 

正直に告白するが・・・時々というか、しょっちゅうと言うか・・変態的な変わった夢を見る。

目が覚めた時に覚えていたら極力メモを取り・・・それを題材将来ショート・ショートで書こうかと思う。

 

それにしても・・イクちゃん・・どこに居るんだ?