伊勢佐木町にある有隣堂本店で見つけました。映画化もされるらしく、しかも本屋大賞受賞作だし気になったのでね。

 

親兄弟だろうが結局人間同士の相性が大事で、お互いがストレスになるならば離れた方がいいですよね。というか、殺人や傷害事件って他人同士よりも身内のほうが多いらしいですしね。

相性って時間と環境によっても変わってくるでしょうし、ずっと思いあうのって本当に大変なことですよね。

 

縁に恵まれない主人公と52が傷つき回復していく流れが丁寧かつ繊細に描写され、さらに芯の通った心強い文章が読後の余韻を「なんかやってやろう」的な気持ちにさせてくれます。

話せばわかる、なんてよく言われます。でも分からない人間ってめちゃくちゃ多いんですよね。犬養毅だって結局殺されちゃったし、本作の中でもそう。

それでも、いやそれゆえか。心を通わせることの難しさと美しさ・強さが描かれていて、考えさせられますね。

 

三浦しをんの舟を編むのような淡々と、でも心強い読後感と、恩田陸の夜のピクニックのような一気に心が通う瞬間の心地よさが混じったような。そんな傑作に近い作品です。

 

久しぶりに誰かにお勧めできる作品でした。