昨年、関東大震災からちょうど100年の年でしたが、いい機会だと思って買ったまま積み読。

ようやく読み終えました。

 

被災者の生の声を本にしているので濃いですね・・・読みごたえがあった・・・

人によっては最後まで読んでられないんじゃないかな・・・

 

被災した東京・横浜の悲惨さが淡々と、でもおどろおどろしく描写されています。

プロの作家さんなので卓越した表現力もそうですが、具体的な数値による表現もあるので、なおさら被害の大きさが強調されますね。なんだよ浅草区の焼失率98.2%って・・・日本橋区の100%って何??こんなひどかったの??

 

火災旋風も随所に登場しますが、何これ??実際にあったのは事実なんでしょうけど、未だにイメージつかないんだけど・・・

眼前に老婆を背負った男がそのまま空中に飛び上るのを見たし、荷を積んだ馬車が馬とともに回転しながら舞い上るのも見た。  大八車も、長持も人も飛び、空地に隣接した安田邸の塀の御影石などが人の群に降った。その間にも、煙に巻かれて倒れる人が続出した。  生き残ることの出来た人たちも、例外なく旋風に巻きこまれて飛ばされている。当時九歳だった佐久間稔氏は、父母、妹とともに宙を踏むように旧安田邸の塀ぎわに移動し、二メートルもある塀を越えて庭園の池の中に落ち、辛うじて死をまぬがれた。  旋風に巻き上げられた人々は、一カ所に寄りかたまって墜落し、人の山ができた。そこにも炎が襲って、人の体は炭化したように焼けた。  生存者の内馬場一郎氏は空中に巻き上げられて意識を失ったが、いつの間にか死体の山の最下部にいたことに気づいた。また当時十二歳だった西条久代さんも死体を処理する人の鳶口にひっかけられる寸前に発見され、背をたたかれて意識をとりもどしたという。  その間、人々は土に爪を立ててくぼみを作りその中に顔を突き入れて空気を吸っていた。が、髪油をつけた女の髪に火がつくと、女は絶叫して立ち上りそのまま仰向けになって倒れる光景が続出した。

 

トタン塀が炎で赤熱していて、そこに人の体がはりつきますと、キリストが十字架にかけられたように例外なく両腕をひろげます。遠くなので声はきこえませんでしたが、おそらく絶叫したにちがいありません。赤い塀を背景に、人間がつぎつぎとはりつき、たちまち炎に化してゆく光景は、今でもはっきり眼に焼きついています。

 

この世の地獄やろ・・・

 

緊急時に持ち物をできるだけ最小限にするの、今じゃ当たり前の価値観ですが、関東大震災での反省もあるんでしょうね。

つうか、江戸時代からこの点指摘あったんだな・・・

 

関東大震災といえば、朝鮮人虐殺もありました。

この点の流説の広まる速さよ・・・横浜に始まり翌日には東京に広まったようです。

当時の政治情勢による朝鮮人に対する何かされるのでは、という疑心暗鬼が根底にあるようですが、冷静に判断できればそんなことないのにね・・・

あほな庶民が動物みたいに喚いて、その恐怖が伝染するみたいの、今でもあるよね。

 

暴利の根源が豊かな資力をもつ卸売商にあることを知り、九月十三日取締を卸売商に集中すべきであるという指示を各警察署長に発した。また政府も、それら投機的な卸売商の得た不当利益の没収を発表した。  取締りは、きわめて厳しく、暴利をむさぼる卸売商の検挙がつづいた。その検挙数は、九月七日から十月末まで四百二十二件にも達した。  これらの取締りによって、ようやく物価の安定をみることができるようになった。

 

コロナ禍でもたくさんありましたね、特に初期。わけのわからない差別と私人警察的な輩。あとは転売ヤーっていうんですけどね。

 

いろいろと教訓的なところもおおい良書です。

つうか、100年前とやってること、全く一緒なのよね。質の低いやつらって。。。

まあ、動物みたいにどうしようもないやつってゼロにできないからね・・・仕方ないんですが・・・