日本イラン関係は日米関係

 

上記のような点を踏まえ、会談の持つ象徴性を最大限に高めるレトリックを駆使する必要がある。だが、それ以上を求めるとなると、実質的な内容を求めるとなると、会談の勝負は始まる前についているだろう。つまり、事前の日本とアメリカとの交渉が重要である。これが、日本のイランに対して実質的な譲歩が可能かどうかを決めるからである。日本イラン関係は、ある意味、日米関係の反映でもあるからだ。

 

もちろん、その候補は、日本で凍結されているイラン資産である。去る8月11日に発表されてイランとアメリカの合意で韓国に凍結されていた資産の解除をアメリカは認めた。同じような措置を日本に対しても期待できないだろうか。この問題はイラン側から繰り返し提起されている。同様の問題提起が、今回の首脳会談でも予想される。

 

日本のイラン資産の凍結解除は、韓国の場合よりハードルが高いだろう。そもそもアメリカが今回のイランとの合意で日本では無く韓国の資産の凍結解除を決めたのは、おそらく、その方がワシントンでの共和党からの反発が弱いと判断したからだろう。日本は目立ち過ぎると踏んだからだろう。

 

だがイラン・アメリカ間の合意に反映されているように両国は緊張緩和を望んでいる。少なくとも来年11月のアメリカ大統領選挙まで、イランとの関係が暴発しないようにバイデン政権は望んでいる。であるならば、緊張緩和のためのイランに対する新たなメッセージとして、日本で凍結されている資産の解除をアメリカは容認しないだろうか。日本の外交当局の頑張りを期待したい。

 

そして欲を言えば、イラン原油の日本への輸入の再開である。一部のメディア報道によれば、8月のイランとアメリカの合意の非公開の条項のひとつが、中国によるイラン原油の輸入増の黙認である。イラン原油の輸出の増大が伝えられている。アメリカと敵対するはずの中国のイランからの原油輸入の増大を黙認しておいて、同盟国である日本の輸入を阻止しているアメリカの政策の不条理を指摘して、この面でもワシントンの説得に努めたい。

 

-了-