天変地異と“革命”

 

天変地異は「革命」の予兆だという考え方が古くからある。その起源は中国だ。革命とは、天の命の変化である。それは天の命を受ける天子の交代を意味する。つまり大きな災害は王朝の交代を予期させる。

 

さて2月7日にトルコとシリアの国境地帯で大地震が発生した。死者数が、本校執筆段階の2月13日で既に3万人を超えた。大変な災害である。

 

今世紀に入って以来、トルコではエルドアンという政治家が首相あるいは大統領として政局の頂点に立ち続けてきた。エルドアン王朝とも呼べる状況である。だが経済の悪化から、その人気に陰りが見える。たとえば昨年のインフレ率は80パーセントである。エルドアンが政権を奪取した際の最初の大きな仕事は、20世紀末にトルコを襲っていたハイパー・インフレの退治だった。それに成功してエルドアンは政権基盤を固めた。そのエルドアンの足場をインフレが掘り崩している。既にトルコの首都アンカラ、そして最大都市イスタンブールの市長選挙でエルドアンの率いる公正発展党の候補が敗れている。そして来る5月14日にトルコでは大統領選挙と議会選挙が予定されている。選挙に勝ち続けてきたエルドアンが直面する最大の試練となりそうである。

 

その3か月ほど前の2月上旬の大地震だった。この地震への対応で国民の支持を取り戻すことができるのか、それとも災害がエルドアン王朝の崩壊の予兆となるのか。注目される。

 

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