善戦の中身

 

以上のようにローゼンバーグは民主党の善戦を予想したが、それでは「善戦」 の中身を見ておこう。善戦という言葉で民主党が上下両院の多数を維持できるとしたのか、あるいは上院もしくは下院のみの多数の保持としたのだろうか。

 

ローゼンバーグは上院で民主党が勝つ確率を6割以上、下院では4割とした。4割という数字を言葉にして、下院では民主党は勝てそうにはないが、勝つ可能性はあるとした。

 

結果は、既に見たように民主党は上院では1議席増やして過半数の議席を制した。そして下院では10議席差で過半数を失った。ローゼンバーグの予想通りと評価できるだろう。

 

もっと詳しく見ると、同氏の予想通りに投票率が高かった。特に若者層の投票率が高かった。有権者全体では投票率は47パーセント程度であり、過去の平均を大幅に上まった(※1)。18歳から29歳の層は「ミレニアル」と呼ばれる世代である。このミレニアルの投票率は、過去の中間選挙においては20パーセント程度であったが、2022年の中間選挙では、それを7パーセント上回る27パーセントであった(※2)。しかも、この層の間では圧倒的に民主党が強かった。その差は28パーセントだった。

 

この層の政治への関心を強めた要因としては、他にバイデン政権の教育ローンの取り消し、マリワナ合法化への前向きな姿勢などもある。

 

この世代の女性の投票を見ると、さらに民主党支持が高かった。その差は46パーセントであり、2020年の大統領選挙の年の35パーセントを上回っている。これは、妊娠中絶問題への女性の怒りの反映とみられる(※3)

 

                       

(※1) https://fivethirtyeight.com/features/turnout-was-high-again-is-this-the-new-normal/ アクセス 2023年1月10日(火)

(※2) https://circle.tufts.edu/2022-election-center#youth-turnout-second-highest-in-last-three-decades アクセス 2023年1月10日(火)

(※3) https://www.brookings.edu/research/midterm-exit-polls-show-that-young-voters-drove-democratic-resistance-to-the-red-wave/ アクセス 2023年1月10日(火)

 

 

>次回につづく