2.開国派前回 からの続き)


さらにハードルを高くして、生産年齢人口と高齢者人口の比を1995年のレベルに、つまり4.8に維持しようとすると、2050年までに5億5千30万という外国人の流入が必要となる。つまり現在の日本の総人口の4倍以上の外国人の流入が必要となり、2050年には日本の人口の約9割は移民とその子孫という計算になる。


経団連の報告書は、国連の統計などに言及するだけで、どのレベルの外国人の受け入れを目指しているのかは明確にしていない。「年間で相当の規模の外国人材を積極的に受け入れ、定着を図っていかなければならない」と述べるのみである。


ただ現在よりも大幅な流入を求めているのは明らかである。図12-5が示すように、報告書の中で繰り返し日本の競争相手として言及された他の先進工業諸国と比べると日本の外国人労働力への依存率は低い。


図12-8 OECD諸国の外国人労働者の人口に占める割合
経済産業省のホームページより
www.meti.go.jp/report/tsuhaku2008/2008honbun/html/i2420000.html
2009年3月4日(水)確認


高橋和夫の国際政治ブログ


また図12-9をご覧いただきたい。移民の受入数を反映させた世界地図である。いかにアメリカという国が移民を引き寄せているかが視覚に入ってくる。


図12-9 2000年の世界の移民の分布
(C)Copyright 2006 SASI Group (University of Sheffield) and Mark Newman (University of Michigan). 地図番号15

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>>次回 に続く


放送大学では2009年9月の放送開始に向けて『世界の中の日本』というテレビ科目を制作中です。高橋は「世界と日本」、「外交/軌跡と針路」、「メディアの風景」、「三丁目の日没後、または人口動態と国際政治」、「異邦人か、隣人か?外国人労働者」、「イスラム教徒」、「グローバル化の行方」の7回に参画しています。アップしたのは、テキスト(印刷教材)の草稿です。