昨日、政府系金融機関のM氏の講演を聞いた。質疑応答を含め刺激的な内容であった。以下、メモ風に記憶に残ったポイントを記す。

  1. ファンドはソブリンゆえに免税特権を母国においても投資国においても享受する。それゆえ投資先相手国との摩擦は望んでいない。

  2. エネルギー価格の急騰を受けて、蓄積された外貨は、とりあえずは産油国のインフラ投資に回るが、それが一巡すれば、投資先を求めるだろう。伝統的な欧米市場以外には新たに日本、その他のアジア諸国が対象となろう。

  3. ソブリン・ウエルス・ファンドの規模は既にヘッジ・ファンドの2倍近くに達している。今後、その規模は更に拡大するだろう。

  4. 投資行動は控えめであり、長期の利益を求めており、経営参加の意志は無い。ハゲタカ・ファンドなどとは、別の世界に属している。

  5. 石油価格の高騰の背景にあるのは、各国の年金基金などの長期的な利益を求める資金の流入であり、短期資金ではない。との分析が正しければ、石油価格の急落は考えにくい。バレル150ドルへ、そして200ドルへ向けての漸増が予測される。

  6. ドルの価値の目減りを受けて、アラビア半島の産油国はドルとのリンクを弱めて行く。ドルとのペッグから通貨バスケットへのペッグへと移行するだろう。そのバスケットにおけるドルの比率は、対米貿易が65パーセントを占めているので65パーセントが合理的であるが、アメリカはドルの役割のそこまでの低下は容認しないだろう。あらゆる圧力を行使して、ドルの比率を8割程度に保とうとするだろう。