悪魔と神について | モノゴトをオモシロくスルドく見る方法「かふてつの方丈記 」

モノゴトをオモシロくスルドく見る方法「かふてつの方丈記 」

  
How to look everythings essentially
or
Everythings gonna be alright

※これも去年書いたものですが、前回の続きなのでUPします。

 

小西玲太朗さんの映画「ARTISTORY」にインスパイアされて書くネタが幾つも出て来てしまい、どれにしようか困っています。

 

「シンクロニシティの解説」、「布教活動をマーケティング目線で捉える」、「命を頂く事の意味」とか他にもいっぱいあるのですが、どれが良いですか?

 

取りあえず、昨日の続き作戦で行きます。

 

昨日の投稿を小西さん御大自らシェアして頂くという光栄に浴させて頂いたので、次のようなコメントを入れました。

 

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蛇足ですが、テリーギリアムは「タイムバンデッツ(バンデットQとは書かない)」で悪魔も神の被造物と位置づけました。神学上は堕落した天使で意図せざる存在と言う事になっていますが、テリーギリアムの方が正しいと思います。何故悪魔を作ったのかと問われた神は「自由意志(free will)の為」と答えます。中々深いです。Wikipediaで「自由意志」を引いてみて下さい。「ARTISTORY」に通じる物があります。

 

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神の対義語として悪魔と言うコトバを使っちゃったので、解説せざるを得ないと思い、書いてみます。

 

神学上の悪魔は上に書いた通りなのですが、神学は「悪魔」と言う概念を作っちゃった関係で、これについても一定の定義・説明をせざるを得なくなり、悪魔学(あくまがく、Demonology)というのが出来ちゃいました。一般的な解説はWikipedia の悪魔学(あくまがく、Demonology)に書いてあるのでそっちに当たって下さい。そこに書いているような事は書きません。もっと面白い話をします。

 

悪魔学は悪魔を体系化してヒエラルキーを作っちゃいます。

 

トップがサタンとその妻リリス、

 

 

幹部は聖書で直接記述がある、、バアル、アモン、アスタロト、アスモデウスあたりでしょうか。

 

      

 

でも蠅の王ベルゼブブはちょっと別格なので、個人的にはサタンとツートップの位置づけと考えています。見方によっては悪魔の総称がベルゼブブと言う事も出来ると思います。 

 

 

今の世の中は明らかにマモンに支配されてますよね。

 

 

マモン - Wikipedia

 

17世紀から伝わる作者不明のグリモワール『レメゲトン』の第一書である「ゴエティア」に「ソロモン72柱」としてソロモン王が使役したとされる72人の悪魔が体系化されています。それぞれ、王・公爵・伯爵・総裁の階級と役割が決められています。リンクを参照して下さい

 

ソロモン72柱ソロモンの封印した72体の悪魔。

 

 

これだけでも充分面白いのですが、ビジュアルがないのはちょっとサミシいですよね。ソコを押さえたのが、コラン・ド・プランシーが19世紀初頭から著した『地獄の辞典』です。(からと書いたのは改訂する内にボリウムがどんどん増えて行ったから)

 

地獄の辞典 - Wikipedia

 

 

各悪魔が図解入りで詳説されています。「女神転生シリーズ」他のゲームでも引用されているから、知らないうちに実は見ているという人も多いと思います。

 

 

『地獄の辞典』は大幅な縮訳版(原書の1/10位)が講談社から刊行されてて(第一版1990年)、私の手元にもあるのですが、今もう絶版になってるんじゃないかなぁ。今アマゾンを見たら中古は買えるみたいです。状態が良いのは¥12,000(定価二千円)のプレミアが付いてた。面白すぎるので完全版を復刻して欲しいです。津嶋さん、お願いします。

 

  

 

『地獄の辞典』は実はネットでも公開されているので、ネットで見る事も出来ます。フランス語だけど。→http://gallica.bnf.fr/ark:/12148/bpt6k5754923d/f1.image

 

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個々の悪魔についても語りたいのですが、始めると一ヶ月くらいかかっちゃうので止めにして、タイトルにある神との関係の話に移します。

 

神学上は、冒頭に記した通り、悪魔は堕落した天使で意図せざる存在となっていますが、私は神にとって悪魔は必要だったと考えています。今、前のセンテンスで「必要」と書いたのを「必要悪」と読み取っちゃった方もいらっしゃるかも知れませんが、違います。「必要」なのです。

 

 

 

これは、前の投稿で書いた神の「絶対性」に係わる問題です。

 

神を信じている人間にとっては、神は「絶対」なので、証明の余地も証明する必要すらありません。何故なら神は「絶対」でアプリオリな存在だからです。

 

 

アプリオリが判らない人はカントを読み直して下さい。

 

(一般的な解答は「演繹的証明の必要のない自明的な事柄」敢えて簡単に言うと、「ハナからあるもの」、「あって当たり前でそれを前提に話が進んじゃうもの」みたいな感じでしょうか)

 

 

 

しかし、神をアプリオリとしている人は、神を信じない人に神を証明する事が出来ません。だってアプリオリなんだもん。

 

そこで必要とされるのが「悪魔」です。神を信じない人でも、世の中には色々理不尽な事とか、悪い事、悲惨な事があるのは解っているから、悪魔の存在には何となく納得感があります。

 

 

 

そこで、神をテーゼとして、悪魔をアンチテーゼとして、アウフヘーベンすることで、神の存在を何となく証明する事が出来るのです。(あ、持病の弁証法が出ちゃった。中々直らなくて困ってます。誰か弁証内科を紹介して下さい)

 

だから、悪魔は神を証明するために必要なのです。

 

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と、期せずしてコーショー路線に走ってしまいましたが、難しく考えずとも悪魔学は素直に楽しいです。永井豪のデビルマンワールドにも触れたかったのですが、尺が足りなくなりました。

 

  

 

そんな訳ですので皆さん悪魔と楽しく遊びましょう!!!

 

※下図はコラン・ド・プランシー『地獄の辞典』の悪魔の図解です。面白いでしょ?

 

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