【マーニ・ニクソンを知っていますか】 | モノゴトをオモシロくスルドく見る方法「かふてつの方丈記 」

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or
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教養に似てちょっと非なるけど面白い物にトリビアというものがあります。今回は取って置きのトリビアネタをご紹介します。知ってる人には当たり前の話かもしれませんがご容赦下さい。

 

マーニ・ニクソンという女優をご存じでしょうか?
知らない人の方が多いでしょう。

でも、この人、誰もが触れたことのあるとんでもない大物女優なのです。

 

主な出演作は、「紳士は金髪がお好き」、「王様と私」、「めぐり逢い」、「ウエスト・サイド物語」、「マイ・フェア・レディ」など。これで、主役を務めています。

 

 

んなこと言うと、主役はマリリンモンロー、デボラ・カー、ナタリー・ウッド、オードリー・ヘップバーンじゃないかと反論されるでしょうが、この大大スターの歌を吹き替えているのが、マーニ・ニクソンだったのです。

 

しかし、大スターが吹き替えで歌っていると言うことを知られるとスタジオは困りますから、ノンクレジットかつ、「自分が歌ったとは絶対公表しないこと」と誓約書を書かされていたそうです。だから、例えば「王様と私」を見ても誰もマーニ・ニクソンが歌っているとは思わないし、マーニ・ニクソン自体知られていないのです。これは本人が同意しているとは言え、切ない話ですよね。

 

 

あと、「ウエスト・サイド物語」では、ナタリー・ウッドは実際に歌ってて、自分の歌声が流れると思って試写を見たら吹き替えられてるから、怒って帰っちゃったとのこと。ナタリー・ウッド自身の歌声も聞いてみたかったけど、結果的に歌ったのはマーニ・ニクソンだったのだ。

 

 

「マイ・フェア・レディ」でもオードリー・ヘップバーンは実際歌ったのですが、マーニ・ニクソンの歌声を聴いたらあまりにもの凄いので、「是非お願いします」ということになったそうです。

 

 

こんな風にマーニ・ニクソンは表には決して現れない知る人ぞ知る最強のゴーストシンガーだったのですが、満を持して顔出しでちゃんとクレジットされる作品が現れます。

 

「サウンド・オブ・ミュージック」です。

 

 

「サウンド・オブ・ミュージック」ではマーニ・ニクソンは修道院の修道女の一人として、ちゃんと顔出しで、冒頭で修道女達が歌う「マリア(How do you solve a problem like Maria?)」を歌います。あと、ラストで修道女が「罪を犯しました」とナチ追跡車を壊すという美味しい場面にも登場します。

 

 

「サウンド・オブ・ミュージック」の時、ジュリー・アンドリュースはマーニ・ニクソンを「いいお仕事されてますね」と労ったそうです。いい話ですねぇ。

 

で、「サウンド・オブ・ミュージック」ではマーニ・ニクソンが自演で歌う訳ですが、「どこかで聞いた声だな」と思うかと思ったら、思わなかった。

と言うことは、今までの吹き替えは対象の女優に合わせて声色を歌い分けていたと言うことなのです。例えば山田康雄はルパン三世とクリント・イーストウッドで声色を変えていますが、同じようなことをマーニ・ニクソンもやってるのです。


凄いぞマーニ!!

 

マーニ・ニクソンは去年(2016年)の7月に亡くなってしまいました。合掌。

 

 

これからは、「紳士は金髪がお好き」、「王様と私」、「めぐり逢い」、「ウエスト・サイド物語」、「マイ・フェア・レディ」など見る時はマーニ・ニクソンの歌声を楽しむ積もりでも観て見て欲しいと思います。

 

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■マーニ・ニクソンの吹き替えソングのリンク集を下に挙げてみます。

女優に合わせて声を「当て」ているのが判ります。聴き比てみて下さい。

女優のセリフとマーニ・ニクソンの吹き替えの間に全然違和感が無いのが凄い。でも”吹き替え”だと判って聴くと、高域のビブラートに”らしさ”が出てるような気がします。

 

◆『紳士は金髪がお好き』(1953) : マリリンモンローの吹き替え

 ・「Diamonds Are A girl's Best Friends」

  (高音域のみ吹き替え←何処が吹き替えか判らない【下注】)

 

◆『王様と私』(1956) : デボラ・カーの吹き替え

 ・「I whistle a happy tune 」


 ・「Getting to Know You」


 ・「Shall We Dance」

 

◆『めぐり逢い』(1957) : デボラ・カーの吹き替え
 ・「An Affair to Remember」  

 

◆『ウエスト・サイド物語』(1961): ナタリー・ウッドの吹き替え
 ・「Tonight」

 

 ・「I Feel Pretty」

 

◆『マイ・フェア・レディ』(1964) オードリー・ヘップバーンの吹き替え

 ・「The Rain in Spain」

 

 ・「I Could Have Danced AllNight」


◆『サウンド・オブ・ミュージック』(1965) ※これは吹き替え
じゃなくて自演。
 ・「Maria」(HowDoYouSolveaProblemLikeMaria?)

 

う~ん、マーニ・ニクソンはやっぱり凄い。

 

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【下注】
私も遊びでミキシングやってたから分かるんですが、
多分マリリン・モンローそっくりにマーニ・ニクソンに歌わせて、同時に流し、まずはマリリンの声を100%にしておいて、マリリンの声が高域でかすれてきたらマリリンの声をフェードアウトさせてマーニの歌をフェードインする、戻ったらマーニをフェードアウトさせてマリリンフェードインするといった微妙な調整を音声ミキサーがやってるんだと思う。だから、ここはミキサーも良い仕事していると言えます。