飲食店 | 歴史の裏

飲食店

 流行る店はよくない

病院内の喫茶店
 きのう(10月6日)、妻の腎臓がんでの通院に付き添って大学病院へ行った。朝9時過ぎから夕方5時までの一日がかり。昼は病院内の喫茶店で食べたが、客あしらいの杜撰さに呆れた。
 病院について採血・採尿、レントゲン撮影の後、抗がん剤使用による甲状腺ホルモン異常のため糖尿病内科(甲状腺異常がなぜ糖尿病内科なのか)を受診。泌尿器科で採血の結果を待つ。その間に看護師による問診。2時間以上待たされてやっと受診でき、その後4月にやった脊椎手術後のフォローのため整形外科を受診。午後2時45分にやっと抗がん剤の点滴・注射。そこでまた2時間超。解放されたのが5時過ぎだった。妻は結局昼食抜き。病院へ行って病気になりそうだ。私と息子は3時ころ院内の喫茶店「タリーズ」で遅い昼食。
 パスタは売り切れでやむなくホットドック。飲み物とミニサラダを注文した。2人でホットドックを食べ終わったころ、息子が「サラダがない」と言った。そういえば息子が運んできたトレイにサラダは載ってなかった。息子がレジに取りに行ったが、帰ってきて「サラダは品切れだって。後でお金を返しに来ると言っている」と言う。息子が受け取る時サラダがないことに気づかないミスはあったものの、料金は取っておいて、サラダが品切れとも言わない。こちらが言いに行かなければ、そのまま料金をネコババしたのだろう。大体、レジ係でサラダの品切れを知らず、それを通された調理係が確認もしないなんてひどいものだ。呆れて怒るのを忘れるぐらいだ。
 病院内に他に飲食店はなく、付近にも飲食店がないから、患者や付き添い、見舞客は待ち時間は病院内のこの喫茶店を利用するしかない。だから、この店はいつも満員。店員の質が低下するはずだ。病院に待つ場所はなく受付に待つ場所はないかと聞くと、この喫茶店を言われた。しかし、喫茶店は最近「店内の利用は30分以内にしてください」という張り紙を出した。検査結果を何時間も待つ時どこで待てばいいのか。病院はそうした場所を提供してほしい。


行列のできる店には行かない
 ネットやテレビなどで行列ができる店がもてはやされているが、流行っている店の多くは店員の客扱いが悪い。自宅近くにつけ麺の有名店「六厘舎」があった。雑誌などで紹介され行列のできる店となった。午後5時閉店なのに閉店間際でも行列ができていた。タクシーでやってくる人もいて、ピーク時には2時間から2時間半待ちは当たり前。店内はカウンター席だけで10人も入れない。入店するとすぐにつけ麺が出され、10分ほどすると入れ替え、全員外へ出される。食後に余韻を味わうゆとりもない。
 行列ができるほどなら、客に待たせずゆったり味わってもらえるよう店舗を拡張すればいいじゃないか。それをしない経営者は「俺の店はうまいから並んででも食え」という傲慢なやつなのだろう。そのくせ、後には「六厘舎監修のつけ麺」をスーパーで売ったり、自販機を置いたりしている。そんなに儲かっているなら本店で待たずに食べさせるのが客本位にあり方なのに、経営者が主役の下劣な商売だ。
 かつてJR新橋駅そばのガード下に喜多方ラーメン「蔵」という店があった。やはり行列ができる店だった。ある時、客がラーメンが手元に来てから小ライスを追加注文した。注文請けのババアが「注文の時に一緒に言ってください!」と客を怒鳴りつけた。中年の客は恐れをなして黙っている。店のスタッフは誰も注意をしない。私はそれ以来、その店には行かない。

  そういえば、喜多方へ行った時、行列している店があった。私はそういう店に入りたくないので、近くの造り酒屋で聞いたら、「地元の人は行列のできる店には入らない」と地元の人が一番うまいという店を紹介された。それは行列の出来ている店の元祖の店で、ガラガラたっだがとてもうまかった。
 私は行列している店には行かない。行列した店があれば、その隣の行列してない店に入る。例えば食事時間が1時間しか取れない時、行列して40分待って食べて10分で出てこなければならないなら、店には行ってすぐに料理が出てきて40分ゆっくり食事した方がいい。

 行列ができるほど繁盛している店は質が落ちる。かつて、知人が東大農学部前のおでん屋がうまいと言って連れて行ってくれた。行列ができているので、近くの居酒屋で時間待ちした。そこの大根がすごくうまかった。その後、件のおでん屋に行ったが、大根などよく煮込んでいなくて、美味くない。知人は「こんなはずじゃなかった」と言ったが、行列ができるほど繁盛したので煮込む時間が取れず質が落ちたのだろう。私は昆布が好きなので頼むと、女将と思われるババアが「うちは昆布でだしを取ってません」とぬかしやがる。お前のところは出し殻の昆布を客に食わせるのか、と言ってやりたかった。

食事の楽しみ
 食事は食べればいいというだけではない。食べること自体が楽しみであり、息抜きでもある。食後のひと時も大切な時間だ。飲食店には私なりの条件を付けている。まずは味。金を払うのだからうまくなければいけない。次に料金。いくらうまくても高くてはいけない。座るだけで5万円も取る店で味が悪かったら腹が立つ。安い店でも味がよくなければ意味がない。その次は客あしらい。前の2例のような店は対象外だ。そして店の雰囲気。味がよく、料金が安く、客あしらいもよくても店の雰囲気が悪ければ楽しくない。店構えや店内の装飾、それに客層も大切な要素だ。


説教するオヤジ
 中には客に説教する店主もいる。材料の講釈はいいにしても食べ方やマナーに注文を付ける奴がいて、そういうオヤジを歓迎する客もいるが、これは主客転倒である。どっちが主役なのか。身の程をわきまえない奴は嫌いだ。
 昔、ウインナーコーヒーが流行った時があった。同席の先輩がかき混ぜて飲んでいると、店員がかき混ぜてはいけないと言う。まずホイップミルクの味で飲んで次にコーヒーそのものを味わい、最後に砂糖味で飲むのだと講釈する。先輩は「どう飲もうと俺の勝手だ」と怒った。その通りだ。金を出して買い取ったのだから、どう飲もうとこっちの勝手である。なお、私は普通のコーヒーを飲む時もかき混ぜない。初めは生ミルクで味わい、その後コーヒー自体を味わい、最後に底に溜まっている砂糖で味わっている。


予約取りにくい店に行かない
 同じような理由で私は予約がとりにくい店には行かない。食事はその時の気分や体調、天候などによって食べたい時に食べたいものを食べるのが最適である。場合によって1年前に予約がいっぱいという店もある。予約した日にラーメンが食べたいのに、こってりした洋食のフルコースなんて食べたら最低だ。逆に洋食が食べたい時に予約したからと言って懐石料理を食べなければならないなんて馬鹿の骨頂だ。人は自然と共に生きており、自然の中の一部だ。自然に逆行するような食事をしていい訳がない。