能登半島地震の支援遅れ
空、海から大規模支援を
能登半島地震から約1カ月。被災者は厳しい生活を強いられている。1月27日、やっとボランティアが現地に入り、復旧のお手伝いを始めた。国民みんなが感じていることだろうが、被災者の救出・支援が猛烈遅れている。半島という特殊条件の中で道路が寸断されていることが大きな原因だろうが、それだけではない。政治の「助けたい」という熱意が感じられないのだ。
半島の道路が寸断されて陸上から入り込めないことは地震翌日の2日には判明していた。それなら、なぜ、空や海から救助の手を差し伸べられないのか。メディアでは自衛隊の投入数が少ないという批判があるが、筋違いである。道路が寸断されているのに、陸上から大量の自衛隊員を投入すれば混乱するばかりで、かえって救援を妨げてしまう。しかし、自衛隊は陸自ばかりではない。空自も海自もある。自衛隊の輸送用ヘリは150機を超えるだろう。なぜそれを投入しないのか。海岸が崩れて海からは近づきがたいという理屈もあるが、海自も陸自も上陸用舟艇をたくさん持っている。これなら、地震で崩れた海岸でも近づけるはずだ。孤立した集落の人を救出し、重機を荷揚げして復旧に役立てることができる。総理大臣はすぐにそうした指示を出すべきだし、首相を支える官僚たちもなぜ、そうした知恵を提案しないのか。
国民を助けられない「自衛隊」
上川陽子外相は、日本がこんな時にわざわざウクライナへ行って支援継続を約束している。そんな暇があったら、能登半島地震被災者への支援を提言すべきだろう。自衛隊は震災の真っ最中の1月7日、千葉県習志野市で自衛隊員260人が参加し、8カ国の軍隊が集まって第一空挺団による降下訓練をした。軍隊は訓練も大事だろうが、目の前で国民が死んでいるのに、訓練どころではない。その勢力をなぜ能登半島に派遣して実戦に役立てないのか。降下部隊こそ活躍する場面である。訓練なんてあまりにのんびりしている。
「自衛隊」は「自らまもる、ふせぐ」隊であるから、国民や国を外敵からまもり、災害からふせぐためにある。国民が災害で死につつある時に国民を衛れない「自衛隊」っていったい何のためにあるのか。それこそ税金の無駄遣いではないか。