気になる言葉使い②
プロがおかしな使い方
変な日本語について、このブログで何回か書いた。最近、テレビや新聞が変な使い方をしているのが気になり「気になる言葉使い」(2023・6.2)で「たら~ れば~」「かが…では…」を書いた。今回は「潜入取材」と「逃す」について書く。
潜入取材
テレビで、普段は取材させてくれない場所の取材を許されて放映する場合によく使われる。自衛隊や警察の心臓部や企業の製造工場の裏側など。しかし、「潜入」とは入ってはいけないところに密かに入ることで、違法性が問われる場合があり、入ったことを公表してはいけない。公表したとたんに「潜入」ではなくなる。テレビクルーが企業や組織の担当者の案内で撮影しているのは決して「潜入」ではなく「特別に許可されて撮影」というべきであろう。こんな言葉使いをしていると「潜入」の意味が違ってしまう。前に取り上げた「号泣」は、声を張り上げて泣くことなのに、涙ぐんだだけで、テレビや週刊誌は「号泣」と表現している。これと同じことだ。
逃す
新聞やテレビで「優勝を逃す」とか「ベスト4を逃す」と表示している例を見るが、内容を見ると「12×2」で負けていたり、初めからリードされていたりすることがある。「魚を逃がす」ではなく「逃す」は「大魚を逃す」というように、一度手に入れかけていたものを逸することで、接戦で王手をかけていたのに土壇場で逆転を許してしまったケースに使われるべき言葉。単に4強をかけた試合や優勝戦に負けたからと言って「逃す」はないのではないか。普通に「優勝ならず」とか「4強届かず」とすべきであろう。
言葉は時代によって変わっていくのは当たり前だが、言葉のプロが従来の使い方を率先して変えてしまうことには違和感がある。