やっと100匹 | 歴史の裏

やっと100匹

 今年の異常さ

 

 きのう(8月15日)アゲハ蝶の羽化がやっと100匹に達した。昨年は7月24日、例年は7月27日だから、昨年に比べ22日遅れ、例年とは19日遅れだ。2004年から始めたアゲハ飼育は20年目。最高記録は18年の343匹、平均では200匹を超えているが、ここ数年は毎年異常な記録が続いている。100匹を超えたのは17年の6月26日が一番早い。一番遅かったのは21年の9月25日。この年は年間118匹で最低記録。6月20日に羽化してから8月13日まで54日も空白がある異常さだった。

 

3分の1がハチに食われ

 今年は出足が遅い上、サナギがハチの幼虫に食い破られるケースが多かった。アゲハは卵が孵化してサナギになるまで20日弱。しかし、小さなハチがアゲハの幼虫に卵を産みつけ、アゲハがサナギになるとハチの幼虫がサナギを食い破って出てくる。最初はなんだか分からなかったが、サナギから1.5㌢ほどのウジ虫が出てきてハチになる。そこでハチが入らないよう、妻が使い終わった弾性ストッキングを飼育箱にすっぽりかぶせたところ、被害が少なくなった。ところが、今年はその効き目がなく、サナギが食い破られるケースが相次いだ。7月30日までに羽化したアゲハは75匹なのに、サナギが食い破れていたのは40匹。なんと3分の1がやられていた。

 それで分かったことがある。ハチはアゲハのサナギに卵を産むのではなく、幼虫自体に産み付けていたのだ。ハチの卵はアゲハの幼虫の体内で孵化し、幼虫に寄生して成長し、サナギになってから体を食べる。アゲハは幼虫時代に体を食われればサナギにはなれず死んでしまうはずだ。よく見ると、サナギの尻尾の方から食べだし、だんだん頭の方へ行くらしい。アゲハのサナギは生きたまま食われていき、ハチの幼虫はアゲハのサナギを食い破って外に出るという恐ろしい生態だ。ハチも種族保存のために知恵が発達したのだろう。

自然とは厳しいものだ。