アコギな病院経営 別
コロナ死は10万円高い
知人の夫人が差額ベッド代の1日26400円を払えないと言ったら「治療終了です」と言って退院させられた話の後日談。
夫が自宅に引き取って世話をせざるを得なくなった。ところが、夫人は1月27日に38度前後の熱を出して週4日通っていたデーサビス利用を断られてしまった。新型コロナ感染の疑いがあるのに入院もできず、世話をしてくれる人がいない。家には生まれつき手足も動かせず目も見えない40代の寝たきりの重度心身障害者の娘がいる。仕事しながら、脳腫瘍が取り切れないうちに退院させられ、立って歩けず、認知症のように物事を識別できない妻と2人の介護でへとへと。
娘がパルスオキシメータの値が80台になり、命の危険が迫ったので2月8日、救急車で都立広尾病院へ入院したが、2日後の10日に「誤嚥性肺炎で死亡した」と通知があった。葬儀社 へ搬送を依頼。葬儀社が病院へ行くと「コロナによる肺炎」と告げられたという。家族には「コロナによる」とは言っていなかった。指定火葬場で火葬され、骨だけ16日に親族へ渡されることになった。このため葬儀は17日。葬儀社からは「コロナでの搬送だから10万円増額」と要求された。なんと残酷なことよ。
入院させない国
別の知人の話。
同居している義母が2月10日発熱し、11日、抗原検査で陽性と診断された。妻は発熱があり、検査もせずに「みなし陽性」、本人は無症状で濃厚接触者という判定。保健所は96歳の高齢者なのに入院先を探そうともせず、自宅療養を前提にあれこれ指示するだけ。医師に処方されるのは、市販薬と同じ解熱剤だけ、治療してくれない。義母が4年前、脳梗塞で入院した病院に12日に相談したら「96歳だと入院しないと。重症化すると危ない」と心配してくれ、その病院ではクラスターが発生していたのに、ベッドを見つけてくれて入院できた。
知人は「この国では、重症化リスクがあっても入院させないのが原則になっているのでしょうか。患者側が自力で探して、運が良ければ、入院・治療してもらえる状況です。つらい目にあっている家庭があちこちに広がっていると心配です」と言っている。
発熱した妻について医師に聞くと「PCR検査は早くても5日後。みなし陽性にするか、検査で判定を待つか」と言われたので、「みなし陽性」を選ばざるを得なかった。濃厚接触者の本人は症状が出ればPCR検査を申し込めるが、予約が取れるのは5日後以降。やはり「みなし陽性」を選ばざるを得ない。