五輪マラソン、札幌へ
東京開催返上したら?
一方的変更
2020年東京オリンピックのマラソン、競歩は東京から札幌へ移ることになった。11月1日、IOCのジョン・コーツ調整委員長と小池百合子都知事、大会組織委員会の森喜朗会長、橋本聖子五輪担当相の4者協議で決まった。
今回の変更の経緯は面妖だった。10月16日にIOCが札幌開催を発表。森、橋本両氏だけが事前に知っており、さらに変更される札幌市長と北海道知事には通知しながら、開催都市の小池知事はつんぼ桟敷に置かれていた。「緑のたぬき」が怒るのは当然であろう。300億円もかけた暑さ対策が無視されたのだ。一時は法的措置を検討したと伝えられるが「IOCが最終決定する」との規定があり、勝てる見込みがなかったのであきらめたという。
都は移転に伴う負担はしない、その他の競技の会場変更を行わないなどを確認し「同意することはできないが、IOCの決定を妨げることはしない」という〝合意なき決定〟で妥協した。
金儲けに徹するIOC
2013年に東京開催が決まった時から「夏の東京は猛暑で開催は無理」だと分かっていた。アスリートファーストというなら秋にやればいいじゃないか。しかし、IOCの収入の約8割を支えているのがアメリカのテレビ放映料。その都合で8月になった。IOCは商業主義に陥り実入りを狙う興行師に成り下がってしまった。大会を陰で支える市民たちにはボランティアを奨励し必要経費もろくに払わないのに、IOC役員たちは優雅な暮らしを送っている。今のIOCはスポーツを食い物にするごろつきの集まりである。だから高圧的なのだ。日本人は、オリンピック開催で舞い上がっているお人好しの集団なのか。
開催都市とはいったい何なのか。興行師の場所貸しだけなら、いっそ「東京は開催を辞めます」くらいの脅しをかけてもいいのではないか。
震災復興を阻害している東京五輪
もともと私はオリンピックのようなお祭り騒ぎは要らないと思っている。でも、日本でオリンピックを開くことは反対ではない。しかし、開催するなら、インフラが十分な東京ではなく、仙台か盛岡にすべだった。「復興オリンピック」と銘打っているが、実はオリンピックは東日本大震災の復興を阻害している。オリンピックのため土建業が東京へ集中し復興地は人手不足となっている。さらに工賃が上がって復興の足を引っ張っているからだ。