米市民の衝突 | 歴史の裏

米市民の衝突

野蛮な国なのね

 

 812日午後(日本時間13日午前)、米バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派市民との間で起きた衝突についてのトランプ大統領の「双方に非がある」との見解に反発が起きている。人種差別主義者を擁護するような発言にブッシュ元大統領親子はじめ共和党内や陸海空・海兵隊トップから抗議の声が上がっている。

 事件は秘密結社「クー・クラックス・クラン(KKK)やネオナチなど極右団体が開いた集会や行進に反対する市民との間で殴り合いが起き、反対派の群衆に自動車が突入、女性1人が死亡、35人がけがした。ニュースで棍棒などで殴り合う人たちを見て、私は「何という野蛮な国民なんだ」と思った。日本でもヘイトスピーチの集会や行進に反対派の市民が抗議する事態が起きているが、アメリカのように殴り合いになることはほとんどない。数人が一方的に殴ることはあっても集団全体までは広がらない。どこかで参加者の理性が働いているようだ。

 

暴力より文化で

今回の殴り合いを見ると、アメリカという国がいかに野蛮な国かということが分かる。大統領が実力でテロリストに立ち向かい、それを排除する「エアホースワン」という映画が喝采を浴びるような暴力賞賛のお国柄だ。ここで思い出すのは高度に文化が発達していたインカ帝国がスペインなど欧米の暴力に屈して滅亡してしまった歴史だ。人類の歴史は暴力の強い国が弱い国を支配してきた。現代社会もなお、その系譜を引き継いでいる。しかし、負けた国が勝った国より劣っているとは言えない。

日本がアメリカに従属しているのも、アメリカの方が暴力が強いからだ。しかし、そんな選択はもうやめよう。反対派同士のデモが衝突しても殴り合いなどに発展しない文化程度の高い日本は、核やミサイルなど暴力手段を持っているだけの野蛮な国に従属せず、平和な理想国家に向けて邁進したいものだ。人類の歴史を暴力の競い合いから、文化の競い合いへと転換しなければならない。