スーチーさん
「最高指導者は国民」
きょう(11月4日)午後、東京・内幸町の日本記者クラブでミャンマーの国家最高顧問で外務大臣のアウン・サン・スーチーさんの記者会見があった。野次馬根性で聞きに行った。テレビで見るスーチーさんはおしゃれで素敵な人だが、やはり素敵だった。とても71歳には見えなかった。聞いていて、いくつか心に残った言葉があった。
会見の冒頭は日本での行動の説明だったが、その最後に「日本がここまで発展を遂げたのだから、我々も最終地点に達せられないことはない」と言った。軍政で発展が遅れたミャンマーを、日本を手本に追いつきたいとの意欲が満ち溢れていた。会場から「日本で、あなたはミャンマーの最高指導者と報道されているが、それは全体主義の臭いがする」と質問され、「私は与党の指導者です。最高指導者は国民です」と答えた。民主化を目指す指導者として見事な切り返しだった。「あなたの訪問国は中国、アメリカ、インド、日本の順ですが、外交の優先順位もそうですか」との質問には「すべての国と友好関係を持ちたい。日本はミャンマーの人にとっては特別です」とのリップサービスも。
「あなたに何か起こった時の計画は」という不躾な質問に対しては、「LND(国民民主連盟)には優秀な人がいる。私がいなくても十分にやっていける」とかわした。「日本の若者との交流を望んでいるが、日本の若者にミャンマーで学んでほしいことは」との質問には「豊かな生活をしていると、自分の社会が分からなくなる。日本では優秀な医療・保険制度があるが、わが国では当たり前ではないということ。若者に対しては、空をもう一度見上げてほしい。雲があっても、その上には必ず太陽があると言いたい」と若者に希望を持ってほしいと望んだ。
2013年にも会見を聞いた記者は「前の時はかなりアグレッシブだったが、今回はゆとりを持ちながらも断定的に話さなくなった」とコメントした。現実に政治を動かすとなると、慎重にならざるを得ないのだろう。