木曽福島 | 歴史の裏

木曽福島

何気ない「おもてなし」

 先日、木曽の御嶽山へ行った。といっても実は墓参りのついでに登ってみた。岳父が木曽福島出身で、昔は家もあったが、今は先祖からの墓だけが残っているので、数年に1度、木曽福島へ墓参りに行っている。
 これまでは車で行っていたが、免許を返上してしまったので、どうしたものかと木曽町観光協会へ問い合わせると、ホテル木曽温泉が送迎してくれるという。木曽町内で墓参りした後、木曽福島駅にワゴン車で迎えに来てくれた。御嶽山の中腹は紅葉が見ごろ。途中、「きれいね」とか「この辺はもみじが見ごろだね」というと、運転していていたおじさんは、何も言わず車を徐行してくれる。
 岳父は若いころ、御嶽山に登っていたというので、妻は御嶽山に登りたいという。昨年の噴火以来、入山規制がされているが、今は9合目までは登れる。そこまで行くつもりはなかったが、御岳ロープウエイの山頂駅がほぼ7合目だから、そこから8合目にある遥拝所(1周年で遺族の方が遥拝していた)まで行こうと思い、翌朝8時に車で約15分のロープウエイ駅まで送ってもらった。
 登り始めると、足の方は大丈夫だったが、私が血圧降下剤を服用しているせいか、登るにつれ、数歩ごとに頭がくらくらする。無理をしたら大事になるので8合目まで行くのはあきらめ、山頂の見えるところまで行って引き返してきた。
 ホテルは高級とは言いかねるが、温泉は黄色というより黒に近い焦げ茶色の硫黄の濃い、いい湯だった。妻はホテルの清掃が行き届いていることに感心した。送迎をしてくれたおじさんの何気ない「おもてなし」といい、とてもよい墓参旅行だった。妻はすっかり気に入って「また来たい」と言っていた。