麻生発言 | 歴史の裏

麻生発言

ナチ礼賛ではなく「日本語アホウ」

 麻生太郎という政治家は稀有な存在だ。安倍内閣の副総理兼財務相なのに、業績では脚光を浴びず、講演での失言で脚光を浴びた。2008年9月から1年間、総理大臣を務めたが、その業績を言える人はほとんどいないだろう。しかし、麻生さんと言えば「踏襲」を「ふしゅう」、「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだことで有名になった。極めつけは日中首脳の交流が「頻繁」なのを「はんざつ」とほとんど反対の意味に読み違え、顰蹙を買い、「アホウ太郎」のアダ名をもらってしまった。それ以来、歴代総理大臣の演説草稿には漢字にルビが振られるようになったという。総理はその程度の人間がなるらしい。その「アホウ」が副総理に任命されたのだから、自民党はどんな政党なのかと国民が訝しがらないことが訝しい。

「ナチの手口に学ぼう」

その麻生さんがまたまたやってしまった。懲りもせずというか「やはり」というか。7月29日、国家基本問題研究会での講演でワイマール憲法下でのナチ政権台頭に触れ「あの手口に学んだらどうか」と言った。この発言が世界中を駆け巡り「ナチを礼賛するもので許せない」との批判が沸騰したことから、麻生さんは8月1日に「喧騒に紛れて十分な国民的理解及び議論のないまま進んでしまった悪しき例として取り上げた」と釈明、誤解を招いたとして発言を撤回した。一度報道されたものは撤回しても一人歩きしてしまうから、すでに遅い。ただ、マスコミ各社は麻生語を十分に理解して報道したのだろうか。

麻生さんは講演で「憲法改正を喧騒・狂乱の中でなく、静かな環境下で十分に議論すべきだ」と主張。「ドイツのナチスはワイマール憲法という当時ヨーロッパで最も進んだ憲法下で出てきた。憲法がよくてもそういうことはありうる」と述べ、ヒトラー政権出現を立憲体制下の苦い教訓として例示した。ところが、そのあと問題になった発言が飛び出した。「静かにやろうやということで、ワイマール憲法はいつの間にかナチス憲法に変わっていた(これは事実誤認でワイマール憲法はナチス政権下でも形式上は存続していた)。あの手口を学んだらどうか」と言った。文脈から言うと、「いつの間にかナチス憲法に変わったことはいいことだ」と受け取れる。しかし、いくら麻生さんでも、そうは思っていないだろう。だから「誤解を招いた」と撤回したのだ。

「反面教師」でしょう

麻生さんは、学習院大学を出て、米スタンフォード大学や英国のロンドン・スクール・オブ・エコノミクスに留学しているが、前述の漢字読み違いに象徴されるように日本語がよく分からないのではなかろうか。本来は「ワイマール憲法下でナチス憲法ができた例を反面(××)教師(××)として学び法改正は喧騒の中でなく静かな環境下国民が納得する形で論議されること望ましい言いたかったのではなかろうか。しかし、日本語が分からないアホウ太郎」さんだから日本語表現の仕方がわからずあの手口を学んだどうか」言ってしまったのだろうせめて釈明のそういう意味のコメント出せばよかったのに、スタッフも日本語が分からない人で占められていたのだろうか。これから麻生さんのアダ名は日本語アホウ改めなるべく早く主要な役職を退いた方が日本のためだけでなく「アホウ太郎」さんのためにもなる。これ以上頑張っていたら上塗りをするだけだから。