初めての生えぬき長官 | 歴史の裏

初めての生えぬき長官

国際的に有名な佐藤雄二氏

 

政府は7月18日、海上保安庁長官に佐藤雄二海上保安監を起用することを決めた。8月1日発令で、1948年の海上保安庁発足以来、海上保安大学校出身の長官は初めて。海上保安官の悲願が65年ぶりに実現した。

これまでの長官は旧運輸省キャリアが1~2年交代で当たってきたが、現場を知らない指揮官のため第一線の海上保安官は苦労してきた。中には海の行政は初めてというとんでもないキャリア官僚もいて、めちゃくちゃやっておさらばというひどいのもいた。兄弟分の米コーストガードとは現場の海上保安官は歴史を共有しているが、突然長官になった運輸省キャリアは過去の体験を共有していないから連携に齟齬をきたすこともあった。

 海上保安庁生えぬきの長官起用には、尖閣諸島をめぐって中国との緊張関係が強まるなか、安倍晋三首相の意向が強かったと言われる。佐藤氏は海上保安庁の中でも警備救難畑を歩いてきた海上犯罪取り締まりや領海警備のプロ。若い頃は薬物・覚せい剤取り締まりの国際協力のため国連会議で活躍したこともあり、「薬物取り締まりなら日本に佐藤雄二がいる」と国際的にも高く評価されている存在だから、これからの活躍を期待したい。