めくら清水 | 歴史の裏

めくら清水

滾滾と湧く地下水

 

八幡平東麓の松尾村(現八幡平市)に親水公園トラウトガーデンがある土日祝日はマス釣りを楽しむ親子連れで賑わっているが、池の水はすぐ側にある「めくら清水」の水だということを知らない人もいるようだ。めくら清水とは、日本名水百選に選ばれた金沢清水群の1つで、池の周りから湧き出てくる姿が7つの頭を持った蛇が頭を出した姿に似ていると言われ「蛇頭清水」と呼ばれていたらしいが、「じゃとう」の音が「ざとう」に似ていることから「座頭清水」となり、さらに「めくら清水」と言われるようになったらしい。

 自然豊かな岩手県は大好きだが、私は「岩手で推奨するのはどこか」と聞かれたら、一番に「めくら清水」を挙げたい。トラウトガーデンに隣接する岩手県内水面技術センターの構内に湧水から引いてきた噴出口があって清水が勢いよく噴きあがっている。その脇に細い登り口があり、約100メートルも登ると、湧き口にたどり着く。日量3.4万トンと言われる清水が滾滾と湧き出ており、松尾村の上水道に使われている。かつては湧水でできた池のほとりまで入れ、池辺に自生しているクレソンを採ることができたが、今は立ち入り禁止。鉄条網に沿って展望台が作られ、そこから眺めることができる。

八幡平の地下水が湧き出てくるのだろうが、とめどなく湧き出てくる清澄な水に感動さえ覚える。ここにいると飽きずに眺めていたい気分になり、去りがたい。