東京水
「水道はまずい」という迷信
「東京水」というペットボトルがあるのをご存知だろうか。500ml100円で売られている。中身は水道水で、今、国際的に人気商品である。「エッ!」と驚く人も多いだろう。
蛇口から出る水道水をそのまま飲めることでは日本は稀有の国かも知れない。それでも、水源となる都市近郊を流れる川の汚染で都会の水はまずくなった。琵琶湖の下流域や淀川を水源としている大阪、汚染の著しい霞ヶ浦を水源としている茨城県などが代表的例であろう。これらの水は浄水器なしでは口にできない。東京圏を水源的に見れば、多摩川水系を水源としている多摩地方は水がきれいで、利根水系はかなり汚れている。水源の大きな1つである中流域の利根大堰の水源水を見ると、ドロドロで「こんな水を飲んでいるのか」と思うとゾッとする。ただし、東京都水道局は現在、利根水系と多摩川水系の浄水場をつないでミックスさせているので、地域ごとに水質の差はあまりなくなっている。
高度処理して美味くなった
「水道水がまずい」との汚名返上のため、東京都は高度処理をするようになった。これまで行っていた普通の浄水処理の後、オゾンで除菌、さらに活性バクテリアによってカルキ臭などをなくした上、もう一度活性炭処理して付着したバクテリアを除去するなどの高度浄水処理施設を増やしている。市販のペットボトルと東京都の水道水を目隠しして飲ませたところ、大部分の人が「東京水」の方が美味しいと言っている。それなのに、浄水器が売れているのは、「水道水はまずい」という迷信の乗せられた人が多いことをいいことに浄水器を売りたいメーカーのプロパガンダに乗せられているからだろう。もし、疑うなら、誰かに目隠ししてもらって飲み比べたらいい。