差額ベッド
アコギな商売
最近、自分自身や親しい人の入院が相次いだ。そこでおかしく感じることは差額ベッドのことだ。緊急に入院する場合は病院の大部屋が空いていることが少なく、差額ベッドで入院せざるをえない。それが常識に照らして途方もなく高い。
病院によって差があるようだが、3人部屋で5000~6500円、2人部屋では1万円~2万円、1人部屋になると3万円以上が多いようだ。差額ベッドだからといって診療内容に差があるわけではない。特に腕のいい医師がつくわけでもなければ、親切で美人の看護師を付けてくれるわけではない。ただ、部屋代が高いだけである。
さらに、その狭さに驚く。3人部屋だと、1人分のスペースは3畳くらい。1人部屋でも4畳半くらいだろう。ベッドを置くと人の行き来もままならないくらい狭い。部屋は殺風景で何もない。3人部屋は洗面所、1人部屋だとトイレが付き、電話・インターネットができる特権くらいしかない。これでこの料金とはあきれる。大学病院に入院し先年亡くなった友人は33000円の部屋だったから、月に100万円、亡くなるまでに差額ベッド代だけで600万円も払った。
東京の都心部でも3畳1間のアパートなら、月額2~4万円で借りられる。1晩6000円あればビジネスホテルに泊まれる。地方では5000円でも朝食付きがある。3万円も出せば、シティーホテルでもかなり豪華な部屋に泊まれる。サービスも至れり尽くせりである。病院の個室にはサービスなんてない。
かつて、私立大学は入学もしないのに入学金と半期の授業料をぼったくった。大学の入試日程はレベルの低い順に始まるので、滑り止めのために親は高額の授業料などを泣く泣く払わざるをえなかった。子供のために10校近く、数百万円払っていた親もいた。最高学府なのにまるでヤクザのやり方だ。さすがに、文科省の指導で現在は入学しない学生には返すことになったが、病院の差額ベッド料金はこれと同じくらい悪質だ。
最新の医療機器導入に多額の投資を強いられるから差額ベッドで回収しようとするのだろう。患者は命がかかっているので拒否できないという、足元を見た実にアコギな商売だ。厚労省はこうした商売を止めさせるように指導してほしい。