高速道路無料化 | 歴史の裏

高速道路無料化

   受益者負担

 民主党のマニフェストは実現可能なのかが問われている。財源論に関しては820日のブログで論じた。今回は受益者負担について書く。子供手当26千円とともに、高速道路無料化が国民の関心の的だろう。それについては、高速道渋滞による経済への影響、JRやフェリーへの打撃、高速道路会社の従業員の首切り、ETC製造会社への打撃、地球温暖化への悪影響など問題点も多く、にわかには賛成しかねるが、反対論の中に受益者負担の原則をいう人がいることには首を傾げざるを得ない。それを言い出したら、国の財政なんて組みようがない。

 民主党は受益者負担について、道路の利用は無料が原則であり、欧米諸国では、高速道路は一部を除いて無料であると反論しているが、そこには受益者負担についての根本的な視点が抜けている。

 受益者負担を言うなら、鉄道、空港や港湾はどうだ。鉄道はまだ多くの人が利用するが、空港や港湾なんて一生利用しない人も多い。その人たちから取った税金を空港や港湾に使ってもいいのか。教育、医療、介護、福祉だって同じ。

うちには子供がいないから教育費は負担しない。病気になったことはないから税金から医療費を補填するなんてけしからん。病人は治療費を自分で払え。爺さん、婆さんはいないから介護費用は払わない。生活に困るのはその人の責任だから生活保護費なんて必要ない。障害者を持った家庭は他人に頼らず自分の力でがんばれ。農業や中小企業は自己責任でやれ、補助金や救済資金なんてとんでもない。車には乗らないから車道の費用は払わない。災害にあった人は自分で立ち直ればいい、国が災害復旧なんてすることはない。日本はアメリカや自衛隊がいるから戦争の危機にさらされるのだ、軍事費は払わない。

と無限に広がり、国が税金をとって何かをやる必要はなくなる。政治とは、煎じ詰めれば国民が納めた税金をどう使うかを決めることに尽きる。どこに重点を置いて税金を使うかが政治といえよう。それは民主国家でも独裁国家でも同じだ。その政治に満足しなければ、民主国家では選挙によって選び直し、独裁国家では革命やクーデターによって政権を交代させる。

日本が1955年以来、50年以上も1党支配の続いたこと自体が異常だったのだ。正常になるに際して受益者負担なんて言いがかりをつける人は、政治の基本が分かっていないことになる。