イラク戦のインチキ | 歴史の裏

イラク戦のインチキ

イラク戦と自公政権

 事実を知って議論をしたい

◇イラク戦の死者

 イラク戦でのアメリカの戦死者は3千人を超えた。では、イラク人の死者は何人か。これがはっきりしない。アメリカは昨年、3万人と発表したが、米ジョンズ・ホプキンス大医学部のギルバート・バーンハム教授ら4人の推計によると、03年3月のイラク戦争開始から06年6月までの、紛争によるイラク人の死者数は約65万5千人だというこのうち約5万4千人は紛争の影響を受けた病死や事故死だが、残りの60万人以上は暴力による死者で、銃撃がその中で最大の死因だった。その数字の信憑性には議論があるが、死者の7割は女性と子供だという。

イラクではその後も、テロや宗派間の紛争で犠牲者が出ている。イラク人たちは「サダムの時代よりひどい。サダム時代には宗派間の戦闘はなかった」と言っている。

◇アメリカ侵攻の正当性

 アメリカが正当性を主張する根拠は、国連安保理決議678と687である。678は1990年、687は1991年の決議で、アメリカは678によってイラクへの武力行使の権限を与えられたと主張する。しかし、中国、ロシア、フランス、ドイツは新たな安保理決議なしの武力行使は違法であると主張している。アメリカはそうした主張を無視して12年前の決議が有効だといってイラク侵攻に踏み切り、先進国では日本、イギリス、オーストラリアが支持した。

決議678は多国籍軍の武力行使に関する授権決議だが、翌年の決議687によってもたらされた停戦によって授権の決議は終了したとの見解がある。一方、687は湾岸戦争終結に際し、和平の条件としてイラクが大量破壊兵器を破棄すること、武器査察を無条件で受け入れることなど徹底した軍縮遂行を決めた。アメリカは、大量破壊兵器の保有をイラク侵攻の最大の理由にしているが、いまだに大量破壊兵器は発見されていない。IAEAの調査により大量破壊兵器はないとされている。また米CIAの調査でも発見されなかったのに、ブッシュは調査のうちこの部分を公表せず、イラク侵攻を始めた。

アメリカがイラク戦の正当性をどんなに主張しようと、イラク人たちは「アメリカは石油ほしさにやってきた」と見ている。世の中は自分がどう思うかではない。相手がどう思うかで決まる。いくら正当性を主張しても相手がそう思わなくては正当ではなくなる。

ブッシュ政権のスポンサーが兵器産業と石油産業であることは周知の事実である。そして、イラクの製油パイプラインのメンテナンスはフランスが持っていた。

◇自公政権の責任

 小泉純一郎は世界に先駆けてブッシュを支持した。フランス、ドイツの反対の中で日本の支持はブッシュを力づけた。そして、公明党も小泉の決定を支持した。自公政権はイラクに自衛隊を派遣すると同時に、インド洋にイージス艦、護衛艦、補給艦、輸送艦などを派遣し、物資や兵員輸送を支援した。古来、城は食糧や水が絶たれることによって落城した。自公政権は自衛隊派遣を人道・復興支援などと言いつくろっているが、戦争における兵站は重要な作戦の一部である。

 公明党の支持母体である創価学会の牧口常三郎初代会長は常に次のような質問をしていた。「悪いことをすることと、良いことをしないことはどう違うか」。答えは「同じ」。良いことをしないことは、悪いことを容認しているからだ。日本でも最近は飲酒運転をしたら、同乗者や知ってのませた飲食店も罰せられるようになった。牧口のこの考えが認められてきた証拠だ。この論法で考えると、自公政権はイラク人65万人を虐殺したことになる。公明党員は本当に学会員なのだろうか。