仕事
お父さんの仕事
年金の記録漏れ、官製談合、コムスンの介護料金不正受給、女性専用温泉施設シエスパのガス爆発事故、ミートホープの偽装牛ミンチ事件、英会話教室NOVAのインチキと「あってはならない」(責任者弁明の言葉)不祥事が矢継ぎ早に発生している。警察官の泥棒、教員の痴漢と、昔は聖職者と言われた人たちによる、信じられないような忌まわしい事件。日本は一体どうなってしまうのか、職業倫理はなくなってしまったのか。
人は1人では生きられない。生きていることは、他の人のお陰を受けている。だから、何らかの形でその恩返しをしなければならない。生業を通じて社会に還元することが、この世に生きている人の務めである。
日本の経済人たちは、経済とは金儲けのことだと勘違いしている人が多いようだ。経済の本当の意味は「経世済民」のことで、自分の仕事を通じて社会に貢献することが本務のはずだ。それなのに、明治維新以来、「富国強兵」を旗印にした日本は「欧米に追いつけ追い越せ」を至上命題に、人民に尽くすことより金儲けに奔走、「安かろう悪かろう」で世界の先進国にのし上がってきた。特に戦後の高度経済成長期には、それこそが経済人の使命と考えるバカどもが横行した。だからバブル期には「もう、欧米に学ぶものはない」とうそぶく不遜な奴まで出た。
職業は本来、人に尽くすためにある。ところが、小学校低学年の「お父さんの仕事」という授業では「お父さんは家族のために働いています」と教えている。教える先生は本当にそう思っているのだろうか。だとすれば、そんな先生に子供は預けられない。「ガキに教えるのはいやだが、家族のために稼いでいる」と思っているような人は、先生という職業を選んでほしくない。警官も医者もそうだ。そんなことを小さい時から教えているから、仕事が金儲けの手段に成り下がってしまう。一連の不祥事の因はここにある。