選挙Ⅲ
公選法の怪
公職選挙法は、有権者はバカという前提で制定したとしか思えない。なぜなら、有権者は一切何も出来ないようになっているからだ。
公選法は、候補者の行う運動や配布・掲示文書などについては、事細かに定めているが、有権者の運動については何も定めがない。ということは、ぜひ出てもらいたい候補者がいても、有権者は何も出来ないということである。社会的地位があるか組織の幹部か、かなり有名であり、集金能力に長けてなければ、立候補出来ない。いわゆる3バン(地盤、看板、カバン)のない良識ある市民は立候補する道を閉ざされていることになる。要するに、有権者はバカで満足な判断が出来ないから、何もしてはいけないということだ。
こうした矛盾した選挙法について誰も疑問を抱かないことも不思議だ。マスコミでさえ、選挙違反で捕まった人を「運動員」と報じている。運動員とは金銭のやりとりは別にして、候補者から指示を受けて運動をする人たちのことだろう。しかし、よく調べてみると、その中には、自主的に候補者のために運動している人たちがいる。最近では勝手連なども出てきたが、従来の政党では公明党や共産党の党員などは自分の意思で運動している。
しかし、自主的にビラを配ったり、街頭で演説したり、アメリカ並みに胸に「I love ○○」などとゼッケンを貼って町中を歩いたり、各戸を訪問して候補者を支持する話をしたりすれば、選挙違反で掴まってしまう。こんなバカげた民主主義はない。
さらに、不思議なのは、支持者によって支えられている公明党や共産党もバカげた公選法を改正しようとしない。自分らの支持拡大のためにも、政治の第1歩として命がけで公選法改正に取り組むべきなのに、やろうとしないのはなぜなのか。彼らもやはり、民はバカだと思い、支持者は自分たちが決めた候補者のために運動するだけでよいと考えているのだろうか。