宇宙 | 歴史の裏

宇宙

自分の宇宙にどう生きるか

 「宇宙」は、天文学上はすべての天体を含む空間のことで、一般的に「宇宙」はその意味で使われている。だが、「宇宙」の本来の意味を調べると、「宇」は天地四方のことで、世界の「界」と同じような意味を持ち、「宙」は昔から今までということで、世界の「世」と同じような意味である。要するに「宇宙」とは、時間、空間内に存在するすべてを包含する世界のことである。

 一般的、抽象的宇宙は以上の通りだろうが、それがすべての人に共通するとは限らない。人には、それぞれ主体的・実感的宇宙が存在するのではないか。子供には子供の、大人には大人の宇宙というように、学生、主婦、サラリーマン、経営者と主体が代われば、それぞれの宇宙も変わるだろう。家族と家庭、地域社会だけが自分の宇宙という主婦がいるかもしれない。家と勤務先だけを往復している勤め人も仕事や家庭、趣味の世界だけがその人の宇宙だろう。宇宙を専門に研究している科学者は150億光年という広大な宇宙そのものを実感できるかもしれない。また、世界を股にかけて活躍している政治家や経済人にとって、宇宙は世界そのものだろう。活躍する世界の違いによって宇宙の広さが違ってくる。

 だが、宇宙観が大きいから人物が大きいとか立派だとは言えないようだ。もしそうなら、天文学者は人物が大きく、金儲けのため世界中を走り回っている経済人はみな立派な人間ということになる。現実がそうではないことは周知の事実である。人物の立派さとは、自分の住む宇宙でいかに誠実に生きるか、その世界に住む人々を幸せにするためにいかに努力しているか、ということで決まるのではなかろうか。要は、生きる宇宙の広さではなく、その世界にとってマイナスかプラスかで人物が評価されるのだろう。人の役に立てるにはなにをすればいいか、どう行動すればいいか、常に自己に問いかけねばならない。