「研究ツール」としてのiPS細胞 | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

プロ翻訳家による丁寧な翻訳で海外・国内のホットな話題を翻訳家の視点で書き綴っております。



こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)医学翻訳担当の平井と申します。
医学翻訳今回のテーマは、治験などの臨床開発、医薬品、新薬開発における「研究ツール」としてのiPS細胞です。再生医療(regenerative medicine)の主役として脚光を浴びるiPS細胞ですが、臨床に使うにはまだ解決されなければならない問題があります。しかし、臨床で直接治療に用いられる前に、さまざまな研究の場での「ツール」として大きな期待を帯びています。

たとえば新薬の開発です。医薬品の開発にはさまざまな段階があります。新しい化学物質の合成、その候補化合物の能力や毒性を見極めるスクリーニング、実際の患者に対する市販前の治験(clinical trial)といった臨床開発など、現在の医薬品1品目当たり、平均7~17年の期間がかかるとされています。この開発期間を短縮することで、より早く臨床へ新薬を供給することができるし、コストを削減することも可能になります。

こうした新薬開発の流れの中で最も時間がかかるのはスクリーニングの段階です。どのような効果があるのか、などを一つ一つ確認しなければなりません。あたりまえのことですが、この段階で人間を対象に治療することはできません。病気の原因は個人によってさまざまであるし、遺伝子もそれぞれ少しずつ異なっている部分があります。そのため、ある人で効果のある薬が別の人でも効果があるとは限りません。薬の開発って本当に大変なことなんですね(汗)。

そういうわけで、最近大大大注目のiPS細胞の存在がクローズアップされています。iPS細胞から分化した細胞を用いてクローニングを行えば、患者本人の細胞を用いて薬剤の評価ができるということになります。現在は癌細胞を用いたり、ヒトES細胞を用いたスクリーニングも行われたりしています。しかし、患者本人の個性に合わせた医薬品の開発ができるようになれば、副作用のリスクを大きく下げることができ、より効果の高い薬を選ぶことも可能になります。山中教授に感謝!!!

医学翻訳 ・分子生物学翻訳 ・生化学翻訳コラム担当者紹介
大学や研究所で得た知識と経験を生かし、生命科学全般を対象に翻訳を手掛けております。最先端の技術内容に関する仕事が多いため、調査には十分な時間をかけた上で、読み手の立場を十分に配慮し、さらに原文のニュアンスや言葉のリズムを掴み、論理的で読みやすい翻訳文を提供できるよう努めています。
株式会社高橋翻訳事務所 
医学翻訳分子生物学翻訳生化学翻訳  担当:平井