侵略者コガネムシ Japanese Beetle: The Invader | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)環境翻訳担当のY.M.と申します。

環境翻訳週末、毎年恒例の学年末キャンプに参加しました。かつて近隣の鉄溶鉱炉(blast furnace)を支えるため、炭焼きが盛んに行われていたメリーランド州のCunningham Falls State Park。過度の森林伐採 (deforestation)と農業開発(agricultural development)で環境破壊(environmental destruction)が進み、1930年代に政府が買い上げて再生(reforestation)に取り組んできた地域です。現在では、すがすがしい空気と鮮やかな緑に包まれ、歴史を知らなければ環境破壊が問題となった場所とは想像もできません。

しかし、今はもう環境破壊とは無縁、かといえばそうでもないようです。キャンプ場の入り口には「薪持ち込み禁止」と張り紙がされていますが、これは害虫被害から森林を守るため。キャンプで使う薪は全て公園内で購入することとなっています。

この害虫の代表選手は、日本でも馴染みのマメコガネ(Japanese Beetle, Popillia japonica)。1916年にニュージャージー州のリバートンで初めて発見されて以来急速に分布(distribution)を拡げ、今ではアメリカ全土に広がっています。日本でもマメ科植物(Fabaceae)をはじめとする農作物の葉や根を食べるため害虫とされていますが、アメリカでは乳化病菌バチルス・ポピリエ(Paenibacillus popillae)等、マメコガネの幼虫に寄生する種(parasite)が少なく、大発生(outbreak)につながったと考えられています。

薪火でマシュマロを焦がしてグラハムクッキーとチョコレートに挟んだスモア(s'more)、キャンプに無くてはならないデザートを子供たちと楽しみながら、同郷のコガネムシが引き起こしている環境問題に思いを馳せたひとときでした。


環境翻訳コラム担当者紹介
環境コンサルタントを経て米国でサステイナビリティ研究を行った経験を活かし、環境に絞って翻訳活動を行っております。修士共同研究ではカリフォルニア州道路公団の依頼で景観計画を作成。サステイナブル・コミュニティに関する研究では代替エネルギーから建築、農業、教育まで幅広い分野を統合する試みに携わりました。調査→分析→報告/発表という一連の流れの中で、必要に応じて関連分野の情報収集を行うなど、環境に関わる各分野に適した正確な翻訳を行います。
株式会社高橋翻訳事務所 
環境翻訳  担当:Y.M.