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ファージディスプレイは、G・スミスが繊維状ファージの殻にタンパク質の断片を提示したのが始まりです。今では機能を持ったタンパク質を迅速に分離したり、機能を向上したりするために用いられています。
最も注目されている応用分野は、抗体の作製です。方法は抗体ファージライブラリの作製と、目的抗体を提示したファージの選択から成り、これらを繰り返すことで抗体の機能を向上させることができます。抗体ライブラリとはさまざまなアミノ酸配列を持った抗体の図書館です。ヒト抗体ライブラリを作るには、最初にリンパ球の遺伝子から抗原に結合する可変領域をコードする遺伝子断片を増幅し、ファージの遺伝子に連結します。
たとえば、M13ファージを用いる際は、g3pまたはg8pをコードする遺伝子上流に連結します。g3pはM13が大腸菌に吸着する際必要なタンパク質で、ファージ当たり5分子発現しており、分子量5万程度のタンパク質を提示できます。一方、g8pはファージ当たり3000分子も発現しますが、アミノ酸が5~8程度のペプチドしか提示できません。
洗浄しても標的タンパク質に強く結合するファージをライブラリから選択し、可変領域のアミノ酸配列を人為的に変異させ、ライブラリの作製と選択を繰り返すことにより、抗原親和性を人為的に高めることもできます。このように変異と選択の繰り返しによって機能を向上させることを進化分子工学と呼びます。
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医学翻訳 ・分子生物学翻訳 ・生化学翻訳 担当:平井