レジ袋税 Plastic Bag Tax | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)環境翻訳担当のY.M.と申します。

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米国メリーランド州最大のモンゴメリー郡(Montgomery County, Maryland)で、今年1月よりレジ袋に税金がかかるようになりました。つまり、レジで袋に入れてもらうためには、1枚につき5セント支払わなければならないというものです。

人の心理は不思議なもので、これまでも布製の袋がいろいろと販売され、「レジ袋を無くそう!」といったキャンペーンはあちこちで行われてきましたが、実際にその袋に値段がつくとやはり一瞬立ち止まって考えてしまうものです。

今回モンゴメリー郡が実施することとなった税制度は、過去2年間ワシントンDCで行われてきたものより遥かに包括的(comprehensive)です。DCでは主に食料品店のみが対象となっていましたが、モンゴメリー郡ではほぼ全ての店舗が対象になります。スーパーだけでなく、文房具店で細かい商品を買うにも、洋服店でかさばるジャケットを買うにも袋が必要となるわけです。これが意外ともどかしく、食料品店には忘れずに持って行く袋でも、子供のサッカー用品を調達する際にはうっかり忘れていったりするもの。慣れるまでもうしばらく時間がかかりそうです。

このレジ袋税、効果は抜群のようです。これまで犬の散歩道で日常的に見かけていたビニール袋のゴミ(近くの木の枝にひっかっかっていたり、家のフェンスにはさまっていたり、風に飛ばされて漂っていたり)が見る間に減り、今では散歩中に1枚も見かけないという日もあります。モンゴメリー郡にある我が家はチェサピーク湾水域(Chesapeake Bay Watershed)に含まれ、これまでは捨てられたビニール袋が無数に流れる小川に取り込まれて海に流されていました。このようにして海にたどり着いたビニール袋は、ときには何キロも旅をして大洋の還流(gyre)に乗り、巨大なゴミのたまり場を作り出します。有名なものに北太平洋還流(North Pacific Gyre)の「ゴミ捨て場(Great Pacific Garbage Patch)」がありますが、チェサピーク湾水域が繋がる大西洋(Atlantic Ocean)にも大きなゴミのたまり場が形成されています。

もちろん、ゴミの全てがビニール袋というわけではありません。しかし海を漂うゴミの大半はプラスチック製品(plastic products)と言われており、今回のモンゴメリー郡でのレジ袋税がほんの一部でも海洋汚染(ocean pollution)の改善に役立つようになればと祈るばかりです。


環境翻訳コラム担当者紹介
環境コンサルタントを経て米国でサステイナビリティ研究を行った経験を活かし、環境に絞って翻訳活動を行っております。修士共同研究ではカリフォルニア州道路公団の依頼で景観計画を作成。サステイナブル・コミュニティに関する研究では代替エネルギーから建築、農業、教育まで幅広い分野を統合する試みに携わりました。調査→分析→報告/発表という一連の流れの中で、必要に応じて関連分野の情報収集を行うなど、環境に関わる各分野に適した正確な翻訳を行います。
株式会社高橋翻訳事務所 
環境翻訳  担当:Y.M.