男性での発症率が圧倒的に高いファブリー病 | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)医学翻訳担当の平井と申します。

医学翻訳ファブリー病(Fabry's disease)は、スフィンゴ糖脂質(glucosphingolipid)と呼ばれる物質を分解するためのα-ガラクトシダーゼAという酵素が生まれつき不足、あるいは欠損しているために生ずる遺伝性の代謝異常疾患です。分解されないスフィンゴ糖脂質が全身の細胞に蓄積してしまい、組織や臓器の機能が傷害を受けます。典型的な症状として、学童期に発熱を伴う四肢疼痛発作、低汗症、角膜混濁、被角血管腫が出現し、年齢が進むにつれて腎機能障害、心筋障害、心臓刺激伝導系の障害、虚血性心疾患、脳血管障害などの臓器傷害が出現してきます。また、こうした典型的な症状を示すもののほかに、50歳を過ぎてから心筋障害のみをきたすタイプのものも見つかっています。スフィンゴ糖脂質が蓄積した心筋細胞では、細胞の中がほとんど抜けてしまい、収縮するための構造が不十分になります。

ファブリー病の遺伝形式は、X連鎖性劣性遺伝(X-linked recessive inheritance)と呼ばれます。女性では2つのX染色体の両方に異常がないと発病しませんが、男性ではペアになるX染色体がないので、1つのX染色体の異常だけで発現することになります。従って男性は発病しやすく、女性は発病しにくいのです。母親が保因者の場合は、男児と女児にそれぞれ2分の1の割合で異常が遺伝子、そのうち男児のみが発病します。父親がファブリー病の場合は、女児は保因者となりますが、男児には遺伝子しません。

ファブリー病は保因者の女性ではまったく発病しないかというと、そうではありません。生涯を通じてまったく無症状(silent)の場合から、男性患者と同様に重要になる場合まであります。X染色体の中に組み込まれている遺伝子の一部が後天的に働かなくなると、もう片方の異常を補えなくなるからです。正常であったX染色体の不活化の程度によって、症状の出方も異なると考えられます。


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